春の日が未だに来ない
BGM
プラリネ
脚本家
ちゃん@春の日
投稿日時
2016-04-26 22:04:32

脚本家コメント
『スーパースター理論Ⅳ』
読み返して思った、自立じゃね?
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春日未来
「あ、もうこんな時間だ!」
ジュリア
少女は腕時計を見てから、少し慌てた様子でそう言った。
ジュリア
少女がそう言いだすまでの間、あたし達は時も忘れ、夜空を眺めていた。
ジュリア
星を見つめながら、沈黙の時間もあれど、たまに喋ったりもした。
ジュリア
主に少女の方からしてきた相談に乗っていただけなんだけどな…
ジュリア
そういえば、あたしはこの少女の名前を知らない。
ジュリア
同様に、少女もあたしの名前を知っているわけではない。
ジュリア
知らないもの同士が、肩を並べて星空を眺め、語り合い、時間を共有する。
ジュリア
冷静になって考えてみれば、すごい奇妙な体験だよな。
春日未来
「今日は色々お話し出来て楽しかったです!ありがとうございました!!」
ジュリア
「ああ、あたしも楽しかったよ、ありがとな」
春日未来
「私はあっちの方に帰りますけど、お姉さんは?」
ジュリア
「あ、あたし!?」
ジュリア
「あたしはな~…えっと、ほら、ここに残るよ」
春日未来
「ふふっ」
ジュリア
「なにかおかしなこといったか?」
春日未来
「ううん、ただ、私の話を聞いてくれている時のお姉さんはとってもと~っても大人なのに…」
春日未来
「お姉さんも子供なんだなって思いました!」
ジュリア
「それはどういう意味だよ」
春日未来
「お姉さんは帰る場所を見失った迷子さんなんです」
春日未来
「迷った子は、誰かに指摘されるまで自分が迷子だってなかなか気付かないんです」
春日未来
「この間、向こうにある商店街にいた迷子の子、迷子じゃないって言い続けていました」
ジュリア
ああ、なるほどな、いつぞやの子役似の少女も怒るはずだ…
ジュリア
その理由が今のあたしには痛み入るほどわかるぜ。
ジュリア
「それは違う」
ジュリア
「あたしはあたしの意思で飛び出したんだ」
ジュリア
「あたしの夢を掴み取る為、あの家を捨てたんだ」
春日未来
「家出も迷子と大差ないですよ」
春日未来
「だって、大人がそれまでいた家を出る場合って対立って言うじゃないですか」
ジュリア
「それを言うなら、独立だろ」
春日未来
「ああ、それです!…えへへ」
春日未来
「とにかくですね!」
春日未来
「帰る場所が、居場所がない人が、あの星の様に輝けるはずないと思います」
春日未来
「それじゃあ、そろそろ行きますね。さようなら、迷子のお姉さん!」
ジュリア
「……」
ジュリア
「迷子のお姉さん…か」
ジュリア
遠方の夜空に、流れ星が一線描いたのが目に入る。
ジュリア
居場所を失った星は、あの流れ星みたいに、生き急いで儚く散るのが運命だとでもいうのか…
ジュリア
ああ、冷静に考えれば、十中八九あたしもそのクチだろうな…
ジュリア
客観的に見れば、あたしはただ片意地を張って家を飛び出した子供に過ぎない。
ジュリア
悔しいけれど、それが事実だ。
ジュリア
あたしは今まで、あたしの価値観に従って突っ走って来た。
ジュリア
それはあたしの、あたしだけの、他人にはガラクタ同様にしか過ぎないモノ
ジュリア
そんな、つまらない常識を捨てて、あたしはやっと大人になれた。
ジュリア
一方、あたしが今まで積み上げてきたモノ…
ジュリア
それに伴い築いてきた世界も、崩れ落ちていく。
ジュリア
そして、あたしが縋ってきたはずの夢。
ジュリア
その夢にさえ、あたしは押しつぶされそうになったんだ。

(台詞数: 48)