最上静香
(ここがハイカラ市………。)
最上静香
(まるで渋谷を連想させる街並み。)
最上静香
(ビル上には大きなモニター。東京タワーみたいな電波塔。赤いキツネと緑のタヌキ。)
最上静香
(そして壱丸球みたいなファッションビルが立ち並んでいる。)
春日未来
お〜い!静香ちゃ〜ん!こっちこっち〜!
最上静香
(連絡を入れる前に私を見つけてくれる未来。)
最上静香
(来たばかりの私にとって、いきなり合流できたのはありがたい限りだ。)
春日未来
えへへ。イカ、よろしくー!てね。これからイカしたアイドル目指して頑張ろうね!
春日未来
まず最初に静香ちゃんは、イカした塗るアクションを覚えていかないとね。
春日未来
言いづらいんだけど…。今の静香ちゃんはその、
春日未来
言いづらいんだけど…。今の静香ちゃんはその、ダサいから……。
最上静香
(いきなりスミを吐かれた!)
最上静香
(いくら未来の直球発言でも、そのオサゲをむしってやろうか!)
春日未来
ごめんよ静香ちゃん。でもこのままじゃ本当に周りから『あいつダッセー』とか言われちゃうよ?
春日未来
塗ってイカなきゃ生き残れないよ?
最上静香
そんなの鏡を見て言いなさいよ!
最上静香
(思わず、自分でも意味がわからない突っ込みを入れてしまった…。)
春日未来
社長も言ってたよ?
春日未来
自分が塗れば世界が変わる。……それが、イカした道!
最上静香
そこのお店に立ってる、カブトガニにも同じことを言ってみろ!
最上静香
(…そういえばそこに、擬人化したみたいなカブトガニが歩いてる。)
春日未来
も〜。なかなかヒドいなぁ。言ってることは大体あってるのに〜。
春日未来
……今そこのカブトガニさんが気になったでしょ?
春日未来
このハイカラ市にいるヒトはね。みんな魚介類なんだよ。
春日未来
見た目じゃわかんないけど。私達だってみんなイカだしね。勿論、静香ちゃんもイカなんだよ。
最上静香
(…それは、私の知る常識を塗りつぶされたような瞬間だった。)
最上静香
(…………一体どうなってるの?)
最上静香
(クラゲやエビが普通に街を歩いていて、既に私達はイカになってるって?)
最上静香
(じゃあ『イカしたアイドル』て何?)
最上静香
(私の目指したアイドルってなんだったの?私はただのイカになった、ていうの?)
春日未来
あ、これ?バケツを改良した武器なんだよ?輝きの向こう側までインクを跳ばせる
最上静香
聞いてないわよ!そんなことは!!
最上静香
どうして未来は、そうやってお気楽にイカやってるのよ!!
春日未来
静香ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
最上静香
!?
春日未来
……今、動揺してるのはわかるよ?でもね。もう一度、思い出してみて?
春日未来
私達はアイドルを目指してるけど。歌やダンスのスキルだけじゃ、観客は沸かない。
春日未来
今回、『イカしたアイドル』の称号は観客も自分も。みんなが楽しめてこそイカしてるの。
最上静香
…………………。
春日未来
私達が目指すアイドル像も、『イカしたアイドル』も根底にあるものは全く同じだよ。
春日未来
今、自分がイカになってる限られた時間を、もっと楽しまなきゃ損だよ?そうは思わない?
最上静香
(もう尺が無いから、強引に話を持っていかれたけど。確かに未来の言う通りなのかもしれない。)
最上静香
思わず取り乱してごめんね、未来。私、しばらくイカになってみるわ!
春日未来
よ〜し!そうと決まれば、さっそく塗るレッスンから始めていこう!
最上静香
そういえば、さっき『塗るアクション』がどうとか言ってたわね?
春日未来
かなりマジ本気で重要なことだよ〜?塗ってイカなきゃ
最上静香
生き残れない、でしょ?覚えておくわ。
最上静香
(……こうして私のイカ生活は。)
最上静香
(輝きの向こう側までインクを跳ばすバケツとともに始まった。)
最上静香
「終劇」 『…続けられるかなぁ。』
(台詞数: 50)