永吉昴
(夜が明けた)
永吉昴
(今日がオレの命日だって死神さんは言ってたけど、何時なんだろうな?)
永吉昴
(まっ、それまで精一杯生き抜いてやるさ!昨日と同じく、故郷を目指そう)
永吉昴
んで、死神さんも付いてくるんだね。
春日未来
はい、お亡くなりになった方の魂が迷わないように。すみませんが同行させてもらいます。
永吉昴
いいよ。それが アンタの仕事なら、仕方ないし。
永吉昴
それに誰かと一緒に行くなんて何年ぶりだから、ちょっと嬉しかったりするし。へへっ♪
春日未来
お話のお相手ぐらいにしかなりませんけどね。
春日未来
ってスバルさん、どうしました?
永吉昴
(あれ、あの荷馬車に乗ってる人は もしかしてッ!)
二階堂千鶴
…………
二階堂千鶴
…………あっ、あの人はちょっとして!
二階堂千鶴
スバル?あなたスバルでしょ!?
永吉昴
チヅル………姉さん。
二階堂千鶴
やっぱり、スバルなのね!久しぶり!
永吉昴
チヅル姉さん……
永吉昴
チヅル姉さん……老けたな～
二階堂千鶴
それはお互い様でしょ、まったく……。
二階堂千鶴
立ち話もなんですし、荷台に乗りなさい。
春日未来
…………
二階堂千鶴
…そう。あれから座長さんのもとで数年間修行して、それからずっと1人で回っていたのね。
永吉昴
うん。オレの芸であちこちの人達に、笑顔を贈ってあげたよ。
永吉昴
何十年も続けたら、みんな飽きちゃったけどね。
二階堂千鶴
でも、楽しい旅だったようね。顔を見ればわかります。
永吉昴
そ、そうかな……?
永吉昴
そういうチヅル姉さんは荷台に野菜積んで これから何処にいくのさ?
二階堂千鶴
この先に、身寄りのない子供を預かってる施設があるの。
二階堂千鶴
週に1回、その子達のために野菜スープをつくりに行ってるの。
永吉昴
そうなんだ。
永吉昴
…………
永吉昴
死神さん。オレの命、まだ余裕あるかな?
春日未来
…………
永吉昴
(だんまりか、それならいくっきゃないよな!)
永吉昴
チヅル姉さん、オレのワガママ聞いてもらってもいいかな?
二階堂千鶴
あら、どうしたの?
永吉昴
オレのジャグリング、施設の子供達に見せてあげたいんだ!
永吉昴
ダメ……かな?
二階堂千鶴
いいえ、とても素敵なワガママじゃない。
二階堂千鶴
あなたのジャグリングが、どこまで上手くなってるか気になりますし。
二階堂千鶴
施設の責任者の方にも、場所を提供できないか相談してみます。
永吉昴
ほんと?ありがとう!
永吉昴
(オレの最後の舞台は、そこになりそうだな……)
永吉昴
(子供達に喜んでもらえるよう、精一杯がんばろう!)
春日未来
『シーン10に続く』
(台詞数: 44)