最上静香
普段よく利用する喫茶店。私は未来にそこへ呼び出された。
最上静香
未来にしてはかなりかしこまった表情で、窓際のテーブル席に陣取っている。私もそこへ座る。
春日未来
「静香ちゃん、来てくれてありがとう」
最上静香
「…なんで、ありがとうなのよ」
春日未来
「はい、これ。プロデューサーさんに渡すんでしょう?」
最上静香
「…それ、私のチョコレート」
春日未来
「好き気持ち…伝えるつもりだったんだよね?」
最上静香
「ち、違うわ! これは感謝の意味であって、そんな理由では…」
春日未来
「…もしかしてとは思ってたけど。やっぱりまだ認めてないんだね」
春日未来
「プロデューサーさんのこと、好きだって」
最上静香
「…勘違いよ」
春日未来
「…なんで? 静香ちゃん、プロデューサーさんに、いっぱいい~っぱいもらってるよね?」
春日未来
「…好きにならないわけがないよ。静香ちゃんにとって王子様のような人だもん」
最上静香
「…確かにプロデューサーにはたくさん助けてもらっているわ」
最上静香
「私が1人で暴走して、倒れてしまったとき叱ってくれて…」
最上静香
「私のトップアイドルへの道を示してくれて、応援してくれて…」
最上静香
「失敗して、挫けそうにになっていた私を救ってくれた…恩人よ」
最上静香
「でも、これはプロデューサーを大人として認めただけ。恋愛感情なんかじゃないわ」
春日未来
「どうして? 静香ちゃん、なんで認めようとしないの?」
春日未来
「私、プロデューサーさんのことも、静香ちゃんのこともずっとずっと見てたからわかるよ」
春日未来
「2人は好き同士、だって! だから、気持ちを明かせばすぐにでも…」
最上静香
「そんなことないわ。もし私がプロデューサーだったら、私なんて選ばない」
最上静香
「未来のように接しやすくて、明るい娘を好きになるわ」
最上静香
「私なんて、気難しくて偏屈で、卑しいだけの人間だもの…」
春日未来
「……」
最上静香
「大体、私はアイドルでプロデューサーはプロデューサーよ」
最上静香
「…付き合えるわけない。期待するだけ無駄よ」
春日未来
「…わかった。そういう感情が、自覚させることを邪魔させてたんだね」
春日未来
「静香ちゃん! 私たちはアイドルである以前に、女の子だよ!」
春日未来
「人を好きになる…それは当然のことだと思う」
春日未来
「難しく考えないで。もっとも~っと自分に素直になって」
春日未来
「私、2人のこと応援してるから!」
最上静香
「…未来」
最上静香
…言われてみれば、そうだったかもしれない。アイドルだから、私なんか…そればかり先行して…。
最上静香
だから避けていたんだ。好きって感情を自覚することを。
最上静香
だって、認めてしまったら、辛くなるだけだろうから…。
最上静香
「でも待って。未来、プロデューサーのこと好きなのよね? なんで、応援なんてしてくれるの?」
春日未来
「…さっき言ったとおりだよ。プロデューサーさんは静香ちゃんのことを想ってるから」
春日未来
「だって、プロデューサーさん。いつも静香ちゃんのこと見てるんだもん。後は、女の勘…かな!」
春日未来
「今すぐは難しいけど…プロデューサーさんも気持ちを明かしてくれるのを待ってると思う」
春日未来
「だから絶対告白するんだよ! 親友としての約束だよ!」
最上静香
「…善処は、する…と思う」
春日未来
「よし! 静香ちゃんが自覚してくれただけで前進だね!」
春日未来
「とにかく、早くプロデューサーさんのところへいってらっしゃい! …じゃあね、静香ちゃん!」
最上静香
「…待って! 未来!!」
最上静香
私は後ろから未来を抱きしめる。…彼女は、終始笑顔だった。でも、心は泣いているはずだ。
最上静香
恋愛感情を認めた私にはわかる。他人に好きな相手を譲ろうなんて辛いはずがない。
最上静香
「…私もがんばるから、未来も諦めないで。未来の涙、見たくないから」
春日未来
「静香…ちゃん……。う…うああああぁぁぁぁん…………」
最上静香
辛い気持ちを吐き出してくれる…。それは信頼の証だ。…なぜか私はそう思った。
(台詞数: 50)