最上静香
【ここは聖饂飩女学園。饂飩(うどん)を愛する乙女の園】
中谷育
静香お姉様!ごきげんよう!
最上静香
ごきげんよう。育は今日も元気ね。
中谷育
えへへ。今日の朝ご飯は、わたしの大好きなカレーうどんだったの!
最上静香
そうなの?育、汁で制服を汚したりしていない?
中谷育
もう、お姉様ったら!わたしを子供扱いしないでって、いつも言っているのに!
中谷育
うどんの汁は飛ばさないように、麺を啜る音は立てないように、上品に食べるのがここでの嗜み。
中谷育
そうでしょう?
最上静香
そう。それこそがこの学園の誇りよ。よく覚えていたわね。
中谷育
もちろん!わたし、いつかきっとミス・フラワーになるんだもん!
最上静香
ミス・フラワー。この学園で最も優秀な生徒に与えられる、歴史と名誉ある称号ね。
中谷育
毎年3学期に2年生から選ばれるんだよね!今年はきっとお姉様だよ!
最上静香
どうかしら?私はそんな大した生徒じゃないのよ?
中谷育
そんなことない!お姉様はうどん学の成績が学年トップだもん!調理だって上手だし!
最上静香
それだけじゃ駄目よ。ミス・フラワーに選ばれるような人っていうのは…。
中谷育
どんな人なの?
最上静香
…最もうどんを愛し、何より最もうどんに愛された人よ。
中谷育
それじゃあやっぱりお姉様だ!
最上静香
もう、育ったら買いかぶりすぎよ。
北沢志保
あの…ちょっといいですか?
最上静香
えっ?はい。何でしょう…
最上静香
ッ!?
北沢志保
えっと…職員室の場所を聞きたいのですが。
中谷育
職員室なら、この道をまっすぐ行った所にある建物の2階です。
北沢志保
そうですか。ありがとうございます。それでは。
中谷育
……はぁ〜。すっごく綺麗な人だったね、お姉様!
最上静香
…………。
中谷育
お姉様?どうしたの?ねえってば!
最上静香
…………。
中谷育
もう!急に黙っちゃうなんて、おかしなお姉様!
最上静香
……素敵な人だったわね。
中谷育
え?うん、綺麗な人だった…って、これさっきも言った!
最上静香
…素敵な人…今まで会った誰よりも…こんな気持ち初めてよ…。
最上静香
上品で…触れれば壊れてしまいそうに繊細…にも関わらず、私の心を強く掴んで離さない…。
最上静香
何て芳醇な鰹出汁の香りなのかしら!!
中谷育
わっ、びっくりした!
最上静香
あんな香りを漂わせる人がいるなんて!あんな生徒、この学園にいたかしら!?
最上静香
名も告げずに去ってしまったあなた!あなたは一体誰なの!?
中谷育
お姉様って、本当にうどん命だよね。同じ学園生でも引くくらいに。
中谷育
でも、そんなお姉様の方が、わたしは好き!面白いし!
最上静香
ああ!鰹出汁の姫!私はもう一度、あなたに会いたい!
最上静香
【これは、乙女の園で繰り広げられる、絡み合う麺と出汁の物語】
(台詞数: 42)