最上静香
『星梨花、今日のお昼どうする?またうどん作ろうか?』
箱崎星梨花
『……うどん?うどんって何ですか?』
最上静香
『あれ、もしかして飽きちゃった?たまには他のに』
箱崎星梨花
『あの、そうじゃなくて…』
箱崎星梨花
『…"うどん"って何ですか?』
最上静香
『……いや、うどんはうどんだけど』
箱崎星梨花
『ウドン……もしかして人名とかですか?』
最上静香
『えっ……星梨花本当にどうしちゃったの?うどんよ!麺類の!』
箱崎星梨花
『どこの国の麺なんですか?ごめんなさい静香さん、本当に聞いたことなくて……』
最上静香
『ちょっと何言ってるの…じゃあ携帯でうどんの画像見せるから』
最上静香
私はスマホにうどんと入力して検索ボタンを押しました。
最上静香
しかし──画像はおろか、サイトが一件もヒットしなかったのです。
最上静香
『……えっ、何で?』
最上静香
仕方なく、持ち合わせていた電子辞書を開きました。
最上静香
しかし──全ての辞書から"うどん"の項目が消えていました
箱崎星梨花
『あの、静香さん?どうしたんです……きゃっ!?』
最上静香
私は呆けたように膝から崩れ落ち、そのまま倒れてしまいました
最上静香
星梨花が慌ててプロデューサーと救急車を呼び、私は急遽病院に運ばれました。
最上静香
診察の結果、軽度の熱中症とのこと。帰りに病院の食堂でお蕎麦を食べました。
最上静香
そして翌日──世界から、蕎麦が消えていました。
最上静香
『……どういう事…?』
最上静香
その日は事務所を休み、昼にインスタントラーメンを食べてそのまま寝ました
最上静香
──翌日。世界からラーメンが消えました。
最上静香
同時に──本人、そしてあらゆる媒体や記録から貴音さんが消えていました。
最上静香
『…私が昼に食べたものが…消えている……?』
最上静香
鈍感な私でも流石に気づきました。でも認めたくありませんでした。夢だと思いたかった。
最上静香
昼にもやし炒めを食べた私は、おそるおそる眠りにつきました。
最上静香
──翌日。世界からもやしとやよいが消えました
最上静香
『……後一回だけ、試す』
最上静香
昼におにぎり、いちごババロア、クッキーを平らげて寝ました
最上静香
──翌日。世界から昨日の三品、そして春香さんと美希さんが消えました
最上静香
『……この現象を受け入れるにしても、一つだけ不可解なことがあるわ』
最上静香
ここで気がつきました。──なぜ私はうどんが消えた日に消えなかったのか。
最上静香
……もし、また一からうどんを作って食べたらどうなるのか
最上静香
『……やってみるか…』
最上静香
腹をくくった私は小麦粉を買ってきました。
最上静香
頭の中の知識だけを頼りに生地をこね、伸ばし、細く切っていきます。そして──
最上静香
──理想とは程遠いものの、私の知っているうどんが完成しました。
最上静香
『……(ゴクリ)』
最上静香
──怖くないと言ったら嘘になる。食べたら私はどうなるの?死ぬの?消えるの?
最上静香
何も分からない。震える手で麺をすすり、そのまま眠りにつきます。
最上静香
──どうなっても知るものか。私を消せるものなら消してみろ。
最上静香
──どうなっても知るものか。私を消せるものなら消し
最上静香
──どうなっても知るものか。私を消せるもの
最上静香
──どうなっても知るものか。私を消
最上静香
──どうなっても知るものか
最上静香
──どうなっても知
最上静香
──どうな
最上静香
─
最上静香
【Fin】
(台詞数: 50)