
最上静香
──目が覚めた時、あたりはすっかり暗くなっていました

最上静香
どうやら車椅子で散歩中に、うたた寝してしまったようです

最上静香
時計に目をやるともう夕食の時間。病室に戻ろうと思ったその時、腕に違和感を感じました

最上静香
なんと。点滴のチューブが──1本のうどんに変わっていたのです

最上静香
思わず二度見しました。何回か目をこすってみましたが、チューブはうどんのままです

最上静香
恐る恐る触ってみると、うどん特有のプニプニとした触感が伝わって来ました

最上静香
……何、これ。気持ち悪い

最上静香
私は思い切ってうどんを引き千切りました

最上静香
プチッ、と小さな音をたてて切れたうどん

最上静香
うどんの中から、どす黒い液体が溢れて来ます

最上静香
それは生理食塩水ではなく。補水液や血液でもなく。

最上静香
───めんつゆ、だったのです

最上静香
何が起きているの?疑問に思ったのも束の間。今度は足に違和感を覚えました

最上静香
見ると、床から生えてきたうどんが足首に巻き付いています

最上静香
まるで『逃がすまい』とでも言わんばかりに。

最上静香
怖くなった私は足首のうどんを千切り、車椅子を捨てて全力で逃げ出しました

最上静香
──廊下を必死に走る私。

最上静香
──追いかけてくるうどん。

最上静香
でも私は、所詮14歳の女子中学生。体力もたかが知れています

最上静香
このままだと追いつかれる。そう思った時、どこからか志保の声が聞こえてきました

北沢志保
『静香!こっちへ!』

最上静香
上を見上げると、天井から志保の白い腕が差し伸べられています

最上静香
助かった!

最上静香
そう思った私は、躊躇せずに腕を掴みました

最上静香
──しかし。掴んだ瞬間に腕はドロッと溶け。

最上静香
うどんへと変化し、そのまま私の腕に絡みついて来たのです

最上静香
うどんは腕を伝って私の首に巻き付いてきました

最上静香
──ダメだ。このままではうどんに絞め殺されてしまう……

最上静香
そして次の瞬間──『ボキッ』首の骨が折れる音が聞こえました

最上静香
視界に赤黒い斑点がちらつき始め、目を開けていられません。

最上静香
痛い!苦しい!呼吸ができない!そのまま視界が暗転し──

最上静香
──目が覚めたら、そこはいつものレッスン場だったのです

北沢志保
……

最上静香
……

北沢志保
……怪談の入り口としては及第点だと思うけど

北沢志保
クレシェンドブルー集団ダンスレッスンの休憩中にうたた寝、そのまま熟睡。

北沢志保
そして起きた頃にはもう夜。

北沢志保
寝てる静香の代わりに私は6時前に星梨花を帰らせて。

北沢志保
プロデューサーさん含めた残り4人でレッスン場の後片付けを終わらせ。

北沢志保
後は私達が出て戸締まりして帰るだけ。

北沢志保
……何か言いたいことは?

最上静香
……当分、うどん食べたくない

北沢志保
そうじゃなくて
(台詞数: 43)