ReRise第14話『たった一粒でも』
BGM
Precious Grain
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-04-10 23:03:07

脚本家コメント
振り付けのイメージとしては、OFA→3rd福岡かな。

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最上静香
出番を終えた紗代子さんに入れ替わるように、私はステージに立った。
最上静香
さっきのステージの余韻がほど良い落ち着きを残していて、これは私にとってもありがたい。
最上静香
私は、観客を見渡して、歌の前に自分の想いを伝えることにした。
最上静香
「…こうして、もう一度機会をいただいたことに、感謝しています。」
最上静香
「この一曲に、今の私のすべてを。聞いてください。『Precious Grain』。」
最上静香
ミラーボールが青の光をきらめかせ、イントロが流れ出す。
最上静香
『閉じ込められている砂の 零れていく音色…ねぇ、聴こえているでしょう?』
最上静香
調子が良い。練習よりも、ずっと声が伸びていく。
最上静香
歌に集中できるという安心感が、私をより一層歌にのめり込ませるようだった。
最上静香
そのために考案した新型の振り付けは、紗代子さんのそれとタイプが似ている。
最上静香
羽のような動きの紗代子さんに対して、私は歌詞にある『掌』を基軸に組み立てていた。
最上静香
感情を表す手の動きと、リズムを取るステップ。その場からほとんど動かないのも同じ。
最上静香
でも、もう一つ付け加えるものが、私にはあった。
最上静香
この振り付けを完成させるには、千早さんだけではなく、多くの人の協力が欠かせなかった。
最上静香
『何かシンボリックな動きがあるといいんじゃない?観客が真似できると、もっといいかもね。』
最上静香
ある人に言われたこと。これが、私の振り付けにさらなる力を与えてくれた。
最上静香
『たった一粒でもかけがえのないモノ 輝きに変えながら叶えていきたいの』
最上静香
力強く立てた人差し指を頭上に掲げ、観客に向かって示すように突き出す。
最上静香
これが、私の『たったひとつ』のシンボル。
最上静香
ステップやターンに彩られた派手さはないけれど、振り付けを諦めたわけではないわ。
最上静香
歌に集中するために。同時に、私の情動をより強く伝えるために。そのための、新型!
最上静香
『たった一つだけのかけがえのない夢』
最上静香
…そして、さらなる変化が起こっていた。
最上静香
観客の中に、ある人はペンライトで、ある人は自分の指で。私の動きに続く人が…!
最上静香
ただ聞かせるだけでなく。一体感というべきものが、生まれだしてきて。
最上静香
『あなたにも見えたのなら…手を差し伸べて、硝子の外へ』
最上静香
…楽しい。楽しい。楽しい…!
最上静香
かつての敗北が私の心に刻んだ傷が、消えていくようだった。
最上静香
たとえ回り道をしても、こんな気持ちを味わえるなら…それで良かったと。
最上静香
まるで今のテンションに引っ張られたように、私の声も動きも、キレを増していく。
最上静香
紗代子さんと声質は違うけど、のびやかに力強く、自分の声が会場を満たしていくのがわかる。
最上静香
『たった一つだけのかけがえのない夢 あの星に届かせたい…私の歌を、願いを込めて…』
最上静香
さあ、間奏に入ったわね!紗代子さんに差をつけるなら、ここ!
最上静香
今までの動きとは一転して、力強く腕や腰を旋転させる、ダイナミックなダンス。
最上静香
そして、スカートが円に広がるほどの高速スピン!
最上静香
この短い間奏の間だけは、ダンスナンバーにも負けないくらいの、キレと激しさで!
最上静香
重ねてきた練習と、私が築き上げてきたものが、難度の高いムーブに挑む体を支えてくれた。
最上静香
『たった独りきりじゃ叶えられないから…』
最上静香
そう。多くの仲間と、多くのファンに支えられて、今の私はある。
最上静香
『たった一粒でもかけがえのないモノ 輝きに変えたなら星に届かせたい』
最上静香
『たった一つだけのかけがえのない夢 叶ったら流すのかな…たった一粒、輝く涙』
最上静香
テンションが最高潮に達して、観客のほぼすべてがペンライトや指を掲げてくれている。
最上静香
この一体感が力をくれるから…やれる!
最上静香
スカートを少しかき上げ、セクシーさを演出しながら足さばきも確保して…。
最上静香
フィギュアスケートの選手のように、ジャンプしながらのターン!
最上静香
最後にして最難関の動きでも、私は揺るがずにヒールのブーツでしっかりと地を踏みしめていた。
最上静香
『たった一つだけのかけがえのない夢!』
最上静香
…ああ。この時間が、いつまでも続けばいいのに。
最上静香
しびれるような喜びをもたらしてくれた観客との一体感を惜しみながら、私は歌を終えた。
最上静香
…まるで会場を揺るがすような拍手が、歓声が、私に降り注いできた。

(台詞数: 50)