最上静香
不意に振動が止まった。
最上静香
周りの人間達もそれに気づいたように、アイマスクを外したり、伸びをしたり……
最上静香
私も周りと同じような態度を取りながら、周りと同じ人間であるように振る舞った。
最上静香
荷物は別に運ばれているので、私達はそのまま外に出た。
最上静香
さて、と。
最上静香
まさかこんなに簡単に忍び込めるとは思わなかった。船やバスに乗る時に厳重だった分、
最上静香
もうきっとたいした検査もなくこのまま入れるだろう。
最上静香
少し高台になっているこの場所から、街を見渡した。
最上静香
ここから見ると、それはとても大きかった。
最上静香
まさか、これが人工物だと言うのか。
最上静香
……。
最上静香
観光名所にすればいいのに。
最上静香
あ、違う違う。ランドマークは置いといて、私が探しているのはその周りの方。
最上静香
……やはり、塔の外周にある立派な建物、関係者とかに関係ある施設や住居だろう。多分。
最上静香
さらにその外周、それらの街並みとは全く異なる小さな建物の集合。
最上静香
……よし、ここなら忍び込むのも簡単そうだ。まずはあそこのどこかを生活拠点にして、それから…
最上静香
それから……真実を……
最上静香
……私は、何をしにきたのだろう。何のためにここまでこれたのだろう。
最上静香
もともとあの会社が嫌いで、いつも反発して、いつの間にか色々な技を身に着けて。
最上静香
……いつもの反骨精神でここまで来たはいいが。実物を目にすると途端に現実に戻ってしまった。
最上静香
でもここまで来た以上、帰るわけには行かないし、ああ言うふうに出てきた以上やっぱり帰れない。
最上静香
どうしよう。どんどんやる気なくなってきた。とりあえずここでの目標を決めるか。
最上静香
よし、じゃあ……ここで真実を見つけるまで、帰らない。
最上静香
……
最上静香
そんなこと出来るのかな。
最上静香
出来る!よし、とりあえずやる気は出てきた。まずはそこら辺の安そうな宿を探して……
松田亜利沙
みなさーん、長旅お疲れ様ですー!
最上静香
……なんだろう。ナビゲーターみたいな人が出てきた。
松田亜利沙
今から皆さんを案内させて頂きます!
最上静香
ナビゲーターみたいな人だった。
最上静香
でも困ったな。あんまり関わられたり覚えられたりすると動きづらくなるし……
松田亜利沙
リストの順番にご案内します、お呼ばれした方から馳せ参じてください!
最上静香
あれ、これ順番に呼ばれるの?まずいな、私そんなリストに載ってるわけないし。
最上静香
……このままふわっとゆっくり逃げてしまおうか。
最上静香
とおもってゆっくり退路を探すと。
最上静香
後ろには、いつの間にか屈強そうなサングラスの男の人がそれを塞ぐように立っていた。
最上静香
どうやら、囲まれている。ここに来た人間達は思ったより自由が無いのかもしれない。
最上静香
あれ、他の人はサングラスしてないな。もしかして後ろの人がヤンチャなだけかもしれない。
最上静香
……とりあえず、簡単には逃げられそうにないな。私の技の見せ所だ。
松田亜利沙
えーと、じゃあまずは……
松田亜利沙
お仕事系のあれでお呼ばれした公務員さんはこちらへどうぞ!
最上静香
やった!思ったよりざっくりした呼び方だった。簡単にどこかの集団に忍び込めば万事OK!
最上静香
4分の1程がいなくなった。もっと多い集団に紛れ込みたい。
松田亜利沙
次はお呼ばれしたサイエンティストさん達、こちらへどーぞ!
最上静香
今度は半分くらいが動いた。よし、ここに紛れ込もう。出来るだけ賢そうな顔して。
松田亜利沙
あ、そうそう。
松田亜利沙
政府に楯突くためにここに忍び込んだは良いけどここからどうすればいいか分からない人ー!
松田亜利沙
後で直々にお話するのでそこに残っといてくださーい!
最上静香
……
最上静香
あ、そういえばこの人もサングラスだ。
(台詞数: 50)