野々原茜
やあやあ、元気にしてたかい?
最上静香
……。
野々原茜
ありゃ、だんまり。せっかく茜ちゃんが来てあげたのに。
野々原茜
まあいいか。キミはいつもそうだしね。
野々原茜
それにこれが最後になる訳だし。にゃはは。
野々原茜
寛大な茜ちゃんが赦しても、世間様は赦さないからね。
野々原茜
キミみたいな存在がいると不都合なんだ。
野々原茜
だからキミは明日処刑される。全市民の嫉みを背負ってね。
野々原茜
こういうのは普通、当日の朝に告知されるんだけど。
野々原茜
そうでないと自ら命を断つ輩がいるんだ。でもキミはそんな面倒事は起こさなそうだし。
野々原茜
でも……驚いたな。現に今、キミは毫も動揺していない。
野々原茜
これも全て、キミの計算のうちだと言うのかな。
野々原茜
それともキミは……いや、この話は後にしよう。
野々原茜
ああ、不浄の者たちを癒やしたそうだね。
野々原茜
困るよ。あれは神罰なんだ。
野々原茜
醜い病に冒される魂が善良である筈はないし、そのような罪深き者は虐げられるべきだ。
野々原茜
我々としては迫害せざるを得ないのだけれど、どうやらキミには理解してもらえないらしい。
野々原茜
足並みが崩れるというのは大変危険なんだ。
野々原茜
人は必ずしも正しい選択をする訳ではない。
野々原茜
間違いと判っていながらも進まなければならない時がある……そこで最もやってはいけないのはね。
野々原茜
立ち止まることだよ。歩みを止めた瞬間、我々は罪と向き合わざるを得なくなる。
野々原茜
罪の意識から逃げるには進み続けるしかない。
野々原茜
だから……覚えておくといい。
野々原茜
そこに疑問を投げかけるのは、同胞すべてを地獄の淵へと突き落とす行為なんだ。
野々原茜
人が正論を嫌う理由だよ。
野々原茜
さて、そろそろこの質問にも答えてほしい。
野々原茜
キミは誰だ?
野々原茜
名前を訊いてるんじゃないよ。言うなればキミの魂の正体だ。
野々原茜
キミの最初の肉体は、昔の刑務官が処分してしまったからね。
野々原茜
もはやキミを記憶する者はキミ自身しか居ない。
野々原茜
我々が処刑したところで、どうせキミは六道輪廻の果てに帰ってくるのだろう?
野々原茜
まるでキミは足の無い極楽鳥だ。
野々原茜
華やかな羽で空を舞い、いつまでも降りてくることは無い。
野々原茜
我々には触れることさえ出来ない。
野々原茜
……処刑することは出来るのにね。本当に不思議だ。
野々原茜
あ、処刑の際はなるべく大人しくしてくれると助かるよ。
野々原茜
……はは、余計な心配だったかにゃ。
(台詞数: 37)