野々原茜
あー、あのおばあさんここの川で洗濯してたんだね。めっちゃ水きれい。
最上静香
おい。
野々原茜
あ、もちろんしずちゃんの方がきれいだよ?
野々原茜
あの茜ちゃんでさえ川の水としずちゃんどっちで洗濯するかって聞かれたら洗濯機選ぶよ。
最上静香
こんなところまで連れてきて、どういうつもりだ。
野々原茜
ほら、青空と澄んだ水の爽やか成分で重苦しい話を中和しようと言う粋なはからい。はからいき。
野々原茜
せりりんに聞かれても嫌だしね。
最上静香
全てを話すつもりなのか。何のためだ。
野々原茜
え、普通に親切心で。このままじゃ気持ち悪くない?っていうかさ。
野々原茜
話進まなくなるからいちいち何のためー?とか聞かないでね。で、何から聞きたい?
最上静香
美也は結局誰で、お前とはどういう関係なんだ。私はあいつがあの街の領主の娘で、
最上静香
おまえを食べて不死になったと聞いた。おまえと喋ったその日の夜にな。
野々原茜
ふーん。でもそれわりと本当だよ。ていうかあの子からしたらそれは全部本当だと思うよん。
最上静香
それから、あの街には人がいなくなり、あいつだけが残った。
野々原茜
あ、すごいすごい。それも全部本当だと思うよ。あの子嘘のセンスあるよね。
野々原茜
嘘をつくときは本当の事を混ぜると信じられやすいんだよね。茜ちゃんはついたことないけど。
野々原茜
まあ、種明かしすると、あの子と初めて会ったあの日はついこの前って事ね。
最上静香
それじゃあ、あの街につい最近まで人が住んでいた気配が残っていたのは……
野々原茜
つい最近まで人が住んでいたからじゃない?
野々原茜
茜にゃんもあの街で楽しく暮らしてたんだよ。一人でめっちゃ楽しくね。
野々原茜
人と遊ぶのは好きだったけど、ここ数百年はそんなつもりもないからほぼほぼ寝てたんだけど。
野々原茜
めっちゃうるさい人来たんだよね。いきなり訪ねて来て心臓くださいって。カリオストロかよって。
野々原茜
なんでも茜にゃんハートを食すと茜にゃんみたくずっと生きられるんだって。食べた事ない癖にね。
野々原茜
でもね、その人の言う事にゃ、愛娘ちゃんが死ぬかもしれなくて、だからめっちゃ必死って。
野々原茜
茜にゃんめっちゃ性格ええ子やからね。そりゃ心配やわって、同情してん。
野々原茜
食べられるのは未体験だし楽しそう!でも食べられたらもう何にもできないし。
野々原茜
これは迷うなーって思って、その子を見てから考える事にしたんだ。
野々原茜
そんで会って「あ、たべられたろ」って思ってその日のうちにどうぞってこの身を差し出したんだよ
最上静香
あいつの話と全く辻褄が合う。結局おまえは食べられたのではないのか。
野々原茜
その子のお父さんね、最初っからあの子に食べさせる気は無かったんだよ。
最上静香
嘘をついていたと?おまえは騙されたのか?
野々原茜
きっとウソツキの血筋なんだね、あの子が食べたのって多分関係ないやつだよ。
最上静香
ちょっと待て、それではあいつの病気が治るはずが無い、それに何故おまえは今ここにこうして……
野々原茜
……最初から病気なんかじゃなかったんじゃない?それは誰が誰についたウソかわかんないけど。
野々原茜
茜にゃんハートはどうなったかと言うとね。お金に変わりましたね。
最上静香
……!!売られたのか。
野々原茜
遠い国にこれまた病気の娘を持つ領主さんがいてね、その人の所に行ったっぽい。
野々原茜
……あの子のお父さんはね、多分茜ちゃんの命を悪く扱っちゃったから、不幸になったんだと思うよ
野々原茜
なんであの街にあの子しか残って無いのか茜ちゃんには分かんないけど、まあそこはそういう事。
最上静香
ではやはり、おまえの心臓は買われた先で食べられた事になる。
野々原茜
そこら辺で、心臓だけの茜ちゃんもおかしいなーと思ってさ、めっちゃ本気で復活したんだ。
野々原茜
なんか前と形は変わっちゃったけど、まあ可愛いから良いかなって。あ、また悶着あると思った?
野々原茜
でもね、その買った方のお父さん、自分の街の人に殺されちゃったみたいなんだよ。
野々原茜
本人にも、子どもにも教えてあげたんだけど、間に合わなくてさ。
最上静香
……おい、それはまさか。
野々原茜
なんか、これだと茜ちゃんのせいで二人も一人にしちゃった事になるじゃん?嫌じゃん?
野々原茜
だから、くっつけることにしたんだ。べ、べつに責任とか感じて無いんだからね!
最上静香
……
野々原茜
だからさ、しずちゃん。
野々原茜
多分、まだ遠くに行ってないと思うよ?
(台詞数: 50)