野々原茜
……あ、あれ猫かな?
箱崎星梨花
どうかされました?
野々原茜
あ、うん。なんかさっき川で洗濯してた。ってあれ?
野々原茜
なーんだ。よく見たら普通に人だったよ。歳とると猫も人も同じに見えてくるよね。
箱崎星梨花
随分目が悪いんですね。
野々原茜
性格も悪いけどね。
最上静香
……
箱崎星梨花
あ、すみません。話を戻しましょうか。
箱崎星梨花
あなたには、その地図の場所の街まで行ってほしいのです。そこには私の好きな……
最上静香
……お金ですか。
箱崎星梨花
最後まで聞いてくださいよ。まあそれも好きですけど、珍しい獣さんがいるらしくて。
最上静香
獣……?
箱崎星梨花
ええ。何でも、その獣の心臓を食べると、永遠に死なない体になるそうなんです。
最上静香
……。
箱崎星梨花
なので、是非それを連れてきて欲しいのです。生死は……
箱崎星梨花
……茜さん、死んでしまったら、その心臓に効力は無くなるのでしょうか?
野々原茜
ううん。動いてなくてもセーフだから、別に殺して持ってきても大丈夫だよ。死なないけど。
箱崎星梨花
だそうです。分かりましたか?
最上静香
……
箱崎星梨花
……私ね。思ったんですよ。どれだけ力を持っても、財力を持ったとしても。
箱崎星梨花
死んでしまったら終わりなんですよね。お父様はまあ脆い物でした。
箱崎星梨花
信用も信頼もお金では買えなかったようです。静香さんのおかげで気づけました。
最上静香
……。
箱崎星梨花
お父様がいなくなれば、全て元通りになると思っていました?
箱崎星梨花
まあ、それは良いです。許してあげます。私も勉強になりました。
箱崎星梨花
その代わり……と言ってはなんですか。それをぜひ持ってきて欲しいのです。
箱崎星梨花
もしちゃんと持ってきて頂けたら、そのときはあなたを自由にしてあげます。
最上静香
……。
箱崎星梨花
これってとっても凄いと思いませんか?あれだけの事をした人を無罪放免です。
最上静香
他の者達は?
箱崎星梨花
……私の街の人の事を、どうしてあなたが気にするんですか?
箱崎星梨花
でも、そうですね。あなたがちゃんとそれを持って帰ってきてくれたら。
箱崎星梨花
皆が幸せになるかもしれません。
最上静香
……
箱崎星梨花
行ってらっしゃい。そのお洋服も似合っていますよ。丸で普通の女の子のよう。
野々原茜
……あ、いっちゃった。怒ったかな?
箱崎星梨花
寡黙な人なんですよ。それより茜さん。この度はありがとうございます。
野々原茜
あ、うん。それは別にいいんだけどさ。なんであん時何もしなかったの?
箱崎星梨花
……どの時のことでしょう?
野々原茜
茜ちゃんが初めて来たときさ。せっかくお父さんが危ないよって教えてあげたのに。
箱崎星梨花
ああ、それは分かっていましたから。時期を教えて頂いたおかげでスムーズに進みましたが。
野々原茜
あ、そうなんだ。分かってたのに静香ちゃんを今まで側においてたの?
箱崎星梨花
……あの時までは、私と静香さんの目的は同じだったのですよ。
野々原茜
はえー。頭良いんだね。
箱崎星梨花
軽蔑しますか?
野々原茜
ううん。面白いよ?
箱崎星梨花
それを聞いて安心しました。さて、茜さん。
野々原茜
ん、今度は何?
箱崎星梨花
もっと良い事、教えてくださいますか。
野々原茜
……うん、いいよ。
(台詞数: 50)