最後の雨
BGM
TOWN_RMX
脚本家
ヒデ
投稿日時
2016-09-12 11:23:24

脚本家コメント
タイトルからストーリーを考えよう第58弾
今回は「最後の雨」(曲名)より。

コメントを残す
最上静香
「ハァ…ハァ…」
最上静香
闇雲に走り息が切れた私の足が止まる。
最上静香
近くの壁にもたれ掛かり乱れた息を整える。
矢吹可奈
「静香ちゃ〜ん、ここにいた〜!」
最上静香
やはり息を乱した可奈がやって来た。たぶん私を追いかけて来たのだろう。
最上静香
今日、私は仕事で大きなミスをしてしまった。
最上静香
それは共演者の可奈やスタッフに沢山の迷惑を掛けるものだった。
最上静香
当然ながら迷惑を掛けた人達に謝罪をしたが中には怒りが収まらないという表情の人もいた。
最上静香
なおも謝罪しようとする私の肩にプロデューサーの手が置かれた。
最上静香
『ここからは俺の仕事だから』
最上静香
そう言って頭を下げたプロデューサーに叱責の声が降りかかる。
最上静香
私は居たたまれない気持ちでプロデューサーの背中を見つめていた。
最上静香
普段はプロデューサーに対して「放っておいて下さい」などと偉そうに言っているのに…
最上静香
結局、何かやらかしたら自分ではどうにも出来なくてプロデューサーに頼ってしまっている。
最上静香
私は…口だけは達者の無力な小娘でしかないのだ。
最上静香
そんな自分に嫌気がする。自己嫌悪しまくりだ。
最上静香
頭を下げ続けるプロデューサーに怒号が飛び交う。プロデューサーはただジッと耐えている。
最上静香
私はその光景を見ていられなかった…
最上静香
そして気付いた時にはスタジオを飛び出していて…今に至る。
矢吹可奈
「静香ちゃん、帰ろうよ。きっとプロデューサーさんが何とかしてくれるよ」
最上静香
可奈の言葉に俯いていた顔を上げる。
矢吹可奈
「…静香ちゃん、泣いてたの?」
最上静香
可奈の言葉で初めて自分の頬をつたうものに気付いた。
最上静香
「泣いていないわ。これは…雨よ」
最上静香
我ながら苦しい言い訳だ。雨が降る様な天気ではないし…まだ汗と言った方がマシだった。
最上静香
ただそんな気の利いた言い訳を言えないくらい自分自身に動揺していたのだ。
最上静香
まさか私が泣くなんて…
最上静香
父の反対を押し切り、期限付きとはいえアイドル活動を認められた時に誓ったのだ。
最上静香
トップアイドルになるまでは決して泣かないと。
最上静香
もちろんトップアイドルになるのは簡単じゃない。それまでには様々な困難や苦労があるだろう。
最上静香
だけど歯を食いしばってでも乗り越えてみせる。泣いてる暇なんてない。
最上静香
そう思って今までやって来た。その私が泣くなんて…
矢吹可奈
「……」
最上静香
可奈は何も言わない。ただジッと私を見守っている。
最上静香
ふと、どこからか音楽が聞こえてきた。辺りを見回す。
最上静香
無我夢中で走って来たから気付かなかったがここは古い商店街のようだ。
最上静香
もっとも開いているお店よりシャッターが閉まっているお店の方が多いみたいだけど。
最上静香
その数少ないどこかのお店がラジオを付けっ放しにしているようだった。
最上静香
聞き覚えがある。確か私が生まれる前にヒットした曲だったはず。
最上静香
タイトルは…『最後の雨』だったかな?
最上静香
最後の雨か…
最上静香
私の頬をつたうこの雨も最後に出来るだろうか?
最上静香
私の頬をつたうこの雨も最後に出来るだろうか?トップアイドルになるまで…
最上静香
そして見事トップアイドルになり歓喜の雨…涙を流す事が出来るだろうか。
最上静香
それには私1人では無理だろう。プロデューサーの力も必要だ。…不本意な気もするけど。
最上静香
でも、今日のプロデューサーはちょっとカッコ良かったかな?
最上静香
何となく聞いていた曲がサビに差し掛かろうとしていた。せっかくだから最後まで聞いていこうか。
最上静香
聞き終わったら帰ろう。まずはプロデューサーに謝らないとね。それから…
矢吹可奈
「ほぉんきぃ〜でわぁ〜すぅれ〜るくぅらぁい〜なぁら〜♪」
最上静香
「お前が歌うんかい!」

(台詞数: 50)