二人の死生観
BGM
ライアー・ルージュ
脚本家
りんりんりん世
投稿日時
2016-03-29 09:02:29

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最上静香
ねぇ、志保。ちょっと変な話してもいい?
北沢志保
なに?怖い話とかならやめてよ。
最上静香
あら。志保って怖い話とか苦手だったかしら?
北沢志保
そんなことはないけど…。何かここ、ちょっと出そうじゃない?
最上静香
そうかしら?でも言われてみれば雰囲気出てるわね…。
北沢志保
で、話って?
最上静香
こんな事話してもしょうがないとは思うんだけど…。
最上静香
ちょっと前にね、小学校の頃同じクラスだった子が亡くなったのよ。病気だったらしいわ。
最上静香
そこまで仲良くしてたわけじゃなかったけど、何度も話した事はあったの。
最上静香
それを聞いた時はもちろんショックだったし、少し悲しくもなったわ。
最上静香
でも実感がなかったというか、正直言うとどうでもよかったのよ。今は殆ど関わりがないし…。
最上静香
薄情かなとは思うんだけど…。それから何かずっとモヤモヤしてるというか、何か変な気分なの。
北沢志保
なるほど…。ま、わからないでもないわ。その気持ち。あなたは身近な人が亡くなった経験はある?
最上静香
ないわ。だからどうやって気持ちの処理をすればいいのかわからなくて…。
北沢志保
そう…。私なら、自分じゃなくてよかった、自分に近しい人じゃなくてよかった、って思うわ。
北沢志保
私も最初に身近な人が死んだ時、そんな感じだったわ。昨日隣にいた人が、今日はいないんだもの。
北沢志保
特に実感も持たずに時間が経って…。そんなことが何度も繰り返される内に、
北沢志保
自分の中で上手く折り合いをつけられるようになったわ。少し冷たいかもしれないけど…。
最上静香
ちょっと待って。何度もって…あなた何者なのよ?
北沢志保
昔ちょっとね。機会があったら話してあげるわ。
最上静香
気になって眠れない気しかしないわ。
北沢志保
でも今はダメね。あの頃はまず第一に自分が生きることを優先してたけど…。
北沢志保
自分よりも大切な存在が、たくさんできてしまったから…。今はそんな風には考えられないかも。
最上静香
志保…。
北沢志保
静香もそれでいいのよ。死んだのが自分じゃなくて、友達じゃなくてよかった…って。
最上静香
そっか…。何だかスッキリした感じがするわ。また新しいモヤモヤが生まれたけど。
北沢志保
だからあなたも祈っておきなさいよ。その不運が自分に降りかからないように。
北沢志保
きっと静香の周りには、あなたが死ぬことであなた以上に悲しむ人がたくさんいるから…。
最上静香
志保も、そうだったりする?
北沢志保
………。当たり前でしょ。
最上静香
ふふっ。ありがとう。あら、少し顔が赤いんじゃない?
北沢志保
…こっち見ないで。
最上静香
変に達観してる所あるけど、そういう所はやっぱりまだまだ子供よね〜。うりうり〜。
北沢志保
ひょ、ひょっと!ほっぺたつままないで!
最上静香
志保。私も同じだからね。あなたがいなくなったら…。
北沢志保
…………。
最上静香
志保?もしかして泣いてる?
北沢志保
……泣いてないもん。
最上静香
そう…。
北沢志保
ねぇ…静香。
最上静香
なぁに?
北沢志保
私の昔の話……聞いてくれる?
最上静香
ええ…。

(台詞数: 43)