深緑のパーティ
BGM
bitter sweet
脚本家
親衛隊
投稿日時
2015-12-04 22:13:17

脚本家コメント
レッツパーリィ。
前作 パーティ準備
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/1300000000000031424/seq/409

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北沢志保
「はい、大丈夫です。はい」
北沢志保
「ええ、おかげさまで助かりました。本当にありがとうございます」
北沢志保
「はい、そのようにお伝え願います。失礼します」
北沢志保
「……ふぅ」
北沢志保
今日はいよいよ運命の日。
北沢志保
新堂さんとの電話を終えて仰ぎ見た空は、相も変わらず木々の向こう。
北沢志保
けれど知っている。あの向こうには雲一つない鮮やかな空が広がっている。
北沢志保
指先に降る一条の光。
北沢志保
この光は私の……ううん、私たち未来を照らす光だ。
北沢志保
「よし」
北沢志保
準備は出来た。
矢吹可奈
「志っ保ちゃんー! 団体さんのごっ到着〜♪」
北沢志保
どこから手に入れたのか小さな旗をパタパタと振って現れた可奈。
北沢志保
陽気な外れ歌が深緑の森に響き渡る。
北沢志保
……さあ行こう。振り返らず前へ進め。
北沢志保
――――――
北沢志保
予想以上だ。
北沢志保
私はかつてないお店の盛況ぶりに圧倒されていた。
北沢志保
聴き飽きていた店内の音楽が恋しくなる。
北沢志保
右の方でステーキを求める声が上がったかと思えば、
北沢志保
左の方でラーメンを求める声がしたり。
北沢志保
あっちで芸術的なまでの転倒芸を披露したリボンさんがいれば、
北沢志保
こっちで『ビターセクシー』と謎めいたフレーズを放つ人がいたりと十人十色。
北沢志保
カウンターから眺める別世界。ほんの少しだけ震えてしまう。
北沢志保
ちなみにステーキもラーメンもメニューに存在しない。
北沢志保
あるのはデザート数種類にお菓子、珈琲、珈琲を頼まない人用のドリンク。
北沢志保
たったこれだけ。
北沢志保
だが、これだけでないと私はきっと無意識に手を抜いてしまう。
北沢志保
それだけは絶対に嫌だった。
最上静香
「志保、大丈夫?」
北沢志保
「静香……。大丈夫、なんとかするわ」
最上静香
「いい? ホールは私と可奈で回すから無理しない事。カウンターと厨房はあなただけなんだから」
北沢志保
「わかってる。最後までやり遂げるつもり」
最上静香
「だから無理はしないでって……まあいいわ。いざとなったら私が饂飩を振る舞うから」
北沢志保
「饂飩、ないわよ」
最上静香
「当然持ってきてるわよ。抜かりはないわ」
北沢志保
「……」
最上静香
「……冗談よ、本気にしないで」
北沢志保
「そ、そう」
北沢志保
この子が言うと冗談にならないから恐ろしい。
最上静香
「ところで、可奈から聞いたわよ」
北沢志保
「?」
最上静香
「結構……ふふ、色々頑張ったみたいじゃない」
北沢志保
「っ!」
最上静香
「正直意外だった。あなたはもっとクールなタイプかと思ってたけど」
北沢志保
「ち、中途半端が嫌いなだけよ」
最上静香
「まあ、そういうことにしておく」
最上静香
「さて、と。それじゃ私は順番にオーダー聞いて回るわ。ドリンクの準備、よろしくね」
北沢志保
「あ……ちょっと……!」
北沢志保
行ってしまった。

(台詞数: 50)