高木社長
ハイカラへ向かってイカしたアイドルを目指してくれたまえ。
最上静香
(…………………。)
最上静香
(社長の突発的すぎる第一声に私は呆気にとられた。)
最上静香
(次のお仕事の話なのだろうけど、あまりにも主語なく結論だけ言われてなんかムカつく。)
最上静香
(…まず私は、気まぐれかと思えるこの渋オジに、事の詳細を聞いてみる。)
高木社長
我が社のアイドル達の知名度を、多方面にも目を向けよう。という新しい試みだよ。
高木社長
このアイドル業界において、『イカしたアイドル』の称号を得ている者は未だに少ない。
高木社長
その称号のシンボルともいえるあの街、ハイカラ市はもはや異界に等しいほど独特でね。
高木社長
有名なアイドルだって、あの街で『イカしたアイドル』になれるのは困難とまで言われている。
最上静香
(単にその街だけが、時代に取り残されいるんじゃないか、とも思ってしまう。…それに。)
最上静香
(『イカしたアイドル』何だか冗談みたいなこのタイトルに、私は半信半疑だ。)
最上静香
(有名アイドルが、この称号に興味を持たないから取得者が少ないだけでは?)
最上静香
(この渋オジは一体何を考えているのか?何も考えていないのか?)
最上静香
(とはいえ。ここで疑っていても何も進展しないので、もっと具体的な詳細を聞いてみた。)
高木社長
ファッションセンスは勿論、観客や自分自身をも楽しませる魅力と娯楽。
高木社長
一番のキモは、『インクを塗る』こそが『イカしたアイドル』における根幹なのだよ。
最上静香
(…………。)
最上静香
(一体なにを言っているの?このオジンは。)
最上静香
(いつの間にかアイドル的センスの話から、インクがどうとかの話にすり替わっている。)
最上静香
(ふと見ると、社長が
最上静香
(ふと見ると、社長がインクで真っ黒に塗りつぶされていた!? )
高木社長
というわけで。これからハイカラ市を自分色で染め上げられるよう、頑張ってくれたまえ。
最上静香
(真っ黒に塗られた社長の姿を突っ込む前に、一気に話をまとめられてしまった…。)
最上静香
(…ともあれ私は、自分の色を確立する。というお仕事の為に事務所を後にした。)
最上静香
(真っ黒の余談によると、すでに未来がその街へ先行しているとのこと。)
最上静香
(娯楽性の香りに喰らいつく未来なら、きっと頼り甲斐がありそう。………それにしても。)
高木社長
『イカ、よろしくーーーーーーーーーーー!』
最上静香
(………今にして思えば、社長のあの黒く塗りつぶされた姿。)
最上静香
(……もしかして、あれこそまさに社長自身の色なのかしら?)
最上静香
(サイ○パスでいうところの、犯罪係数300を軽く突破してるみたいな?)
最上静香
(だとしたら私は、一体どんな色になっていくの?………なにより。)
最上静香
(私は、どんな自分になりたいの?)
最上静香
(これから私はその街で、自分自身の在り方を改めて見つめ直すことになる)
最上静香
(これから私はその街で、自分自身の在り方を改めて見つめ直すことになる…のかなあ?)
(台詞数: 34)