最上静香
すみません早坂さん、年の瀬の忙しい時にお呼び立てしてしまって…。
早坂そら
気にしないで下さい。アイドルの皆さんのお呼びとあらば、この早坂そら…。
早坂そら
いつでもどこでも、どんな時でも駆けつけますよ。
最上静香
…冗談抜きに、本当に水中や寝室や乗り物にも付いて回ってますよね…。
早坂そら
はい、昔からよく言われます。
最上静香
昔からなんですか…?
早坂そら
それで静香ちゃん、今日はどうして私をお家に?
最上静香
はい…昔のこと、きちんと謝りたくって。
早坂そら
昔のこと?私、何か謝られることされましたっけ…?
最上静香
………。
最上静香
…早坂さん、私たちの初めての撮影のこと、覚えてますか?
早坂そら
はい、それはもちろん!皆さんのオフショット撮影ですよね。
早坂そら
事務所に街中に、ご自宅にもお邪魔したり。あ、ここにもその時に初めて…。
最上静香
はい。撮影のことは聞いていましたが…まさか家に来るとは思いませんでしたよ。
早坂そら
ごめんなさい…もしかしなくても、迷惑でしたか?
最上静香
いえ…むしろ謝るのは私の方ですから。
最上静香
仕事で来た早坂さんに見向きもしないで、ずっと外ばかり見て…。
早坂そら
でも、あの時の月を見上げていた静香ちゃん、とても綺麗でしたよ。
最上静香
綺麗…そう言えば、聞こえはいいかもしれません。でも、あの時の私は…。
最上静香
ただ頑なに拒んでいただけなんです。早坂さんも含めて、大人という存在を。
最上静香
そうすることが私を強くすると信じてた。大人に頼らないで、自立できる証明だって。
最上静香
…ひどい勘違いですよね。大人というものを十把一絡げに否定するのが強さだなんて。
最上静香
今も、分かってはいても…プロデューサーには、つっけんどんに当たってしまいます。
最上静香
………。
最上静香
…早坂さん、今もまだ整理が付けきれなくて、迷惑をかけてるかも知れませんが…。
最上静香
あの時は、本当にごめんなさい。
早坂そら
…私は、プロデューサーさんや皆さんみたいに、立派なことは言えませんが…。
早坂そら
カメラに写る静香ちゃんの表情は、前よりもっときらきらするようになりましたよ。
早坂そら
私も毎日皆さんを、貴女を見続けましたから、それだけは確かに言えます。
最上静香
そう…でしょうか。そうだったら…嬉しいです。
早坂そら
はい。
最上静香
………。
早坂そら
あ、その表情、いいですね!
最上静香
え?そうでしたか…?……何で、かな…?
早坂そら
どうかしましたか?
最上静香
…今、父のことを考えていました。アイドルを続けてきたこれまでを思い出して…。
早坂そら
そうでしたか。…とてもホッとした顔、してましたよ。
最上静香
…ふふっ、変なの。私、何でお父さんのこと考えてたのに…ホッとなんて…。
早坂そら
…1枚、いいですか?
最上静香
………はい。
最上静香
─お父さん、アイドル、続けさせてくれて、ありがとう。
早坂そら
うん、そのままでいいですよ…。
最上静香
─勉強も習い事も、手を抜かないって、約束するから…。
最上静香
─お願い、もう少しだけ、続けさせて下さい。
早坂そら
カシャ
(台詞数: 45)