音無小鳥
何やかや言って、あたしはお仕事に恵まれている方だと思う。
音無小鳥
可愛いアイドル達皆と仲良しで、歳が近い人達とは友達付き合いが出来て飲みに行ったり出来て。
音無小鳥
ちょっと気になる異性の同僚なんかもいるし。進展があるかはまた別の話だけど。
音無小鳥
忙しさを愚痴る事はあっても、人間関係で悩まなくて済むのは本当に良い環境だと思う。だけど。
音無小鳥
…ふとした時。ほんの僅かだけど、おかしな感情があたしの中で蠢く事がある。
音無小鳥
誰か仕事でトラブルを起こさないか、事務所であの同僚を巡って修羅場になったりしないか。
音無小鳥
酷い目に合って涙を流したりしないか、どうしようもない事が起きてやさぐれたりしないか。
音無小鳥
無論、そんな事は無い方がいいと分かっているのだけど。
音無小鳥
(はあ。欲求不満、てやつなのかなあ…)
伊吹翼
ねえプロデューサーさん。私お仕事終わったしさ、どっか遊びに連れてってもらえませんか?
北沢志保
翼。プロデューサーさんはまだ仕事中でしょ、迷惑かけないの。
伊吹翼
え~いいじゃん。お仕事はいつでも出来るでしょ、私は明日から忙しいし。ね?
伊吹翼
あ、外回りですか、いってらっしゃい…あーあ、つまんないの。
北沢志保
まだ3時過ぎよ、お仕事なのは当たり前じゃない。そんな暇あるなら勉強でもしたら?
伊吹翼
…うっさいなあさっきから。志保ちゃんには関係ないでしょ?
北沢志保
な、何よ。あんまりプロデューサーさんに絡むのは良くないから注意しただけじゃない。
伊吹翼
私がプロデューサーさんにかまってもらいたくて話しかける事の何が悪いの?
北沢志保
え?いやだってほら、プロデューサーさんはお仕事中なわけだし、あんまり邪魔したら…
伊吹翼
ふうん、変なの。普段プロデューサーさんの事はどうでもいいとか言ってるくせに。
伊吹翼
…ん?ああ、なるほどね。そっかそっか、そういう事かあ。へええ~。
北沢志保
何よ、急にニヤニヤしちゃって。
伊吹翼
ごめんね、私ばっかりプロデューサーさんとお話しちゃって。嫌だった?
北沢志保
な、何言い出すのよ。
伊吹翼
志保ちゃんもかまってもらいたかったんでしょ。ごしゅP様、だっけ?あれ可愛かったよね~。
北沢志保
…いい加減にしなさいよ、いっつも不真面目でだらだらして。人を茶化してばっかりで。
伊吹翼
な、何よ。ちょっとからかったくらいでそんなに怒らなくたって…
北沢志保
いい機会だから言っておく。あなたみたいな才能にあぐらをかいて努力しない人、私大っ嫌いなの。
伊吹翼
…1人でやれるとか言ってるくせしていっつも皆と絡みたがってる人よりましじゃない?
音無小鳥
(ちょっとちょっと。今日は何だってそんなに喧嘩腰なのよ、律子さんオロオロしてるじゃない。)
音無小鳥
(この所ツアーやら何やらで忙しかったから。2人ともストレス溜まってたのね。)
音無小鳥
(て、そんな事よりこれ以上やらせたら大変だわ、とにかく止めないと。)
音無小鳥
(止めないと…)
音無小鳥
(…)
音無小鳥
はい、そこまで。2人とも落ち着きなさい。
北沢志保
私は落ち着いてます。翼が変に絡んだのが悪いんですよ、売り言葉に買い言葉で…
伊吹翼
ちょっと。最初にあれこれうるさく言ってきたのはそっちでしょ、私は悪くないもん。
音無小鳥
ああそう、なら続けなさい。けどここでやられたら仕事の邪魔、会議室へでもどうぞ。
音無小鳥
けどね。衝突はともかく貶してるだけで相手を思いやれない人にステージに立つ資格はないわ。
北沢志保
…
音無小鳥
どうしたの、早く行きなさい?鍵なら開いてるわよ。
伊吹翼
…帰ります、お疲れ様でした。
北沢志保
お疲れ様です。あの…いえ、なんでもないです。
音無小鳥
ふう。あ、律子さん。いえ、難しい年頃ですし仕方ないですよ。けどちょっと言い過ぎましたかね?
音無小鳥
(失敗したかなあ?これでもし、余計気まずい事にでもなったら…)
伊吹翼
(翌日)小鳥さん。昨日はすみませんでした。でももう大丈夫ですから。
北沢志保
小鳥さんに言われた事、応えました。それでお互いちゃんと謝まって。ご迷惑お掛けしました。
音無小鳥
そうなの、良かったわ。それじゃ、今日も頑張ってね?
音無小鳥
…これでいい。アイドルにはやっぱり笑顔が似合う。私の歪んだ欲望なんて、叶わないのが1番。
音無小鳥
あ、おはようございますプロデューサーさん。え、朝から何で上機嫌かって?そうですね…
音無小鳥
やっぱり妄想は脳内に留めておくのが1番良いって事が分かったから、かもですね?
(台詞数: 50)