伊吹翼
ーーその男は、飢えていた。
伊吹翼
男の日常は仕事に明け暮れていた。年を重ねるごとに娯楽の時間も少なくなった。
伊吹翼
昔は同じ趣味を持つ友人と肩を並べていた。だが時が経つにつれて時間が合わなくなった。
伊吹翼
いや、どちらかといえば割り切ったと言うべきだろう。時代も変わり、見切りをつけたと言うべきか
伊吹翼
都合があると言われたらそれまでだが、今は寂しさや虚しさを埋める場所が欲しかった。
伊吹翼
ーー今、男の手元に大人気アイドルのチケットを持ち合わせている。
伊吹翼
ーーライブのチケットがあります。
伊吹翼
格安で譲りますので、ホテルで夜の相手になってください。
伊吹翼
地方から遠路はるばる来る人もいるだろう。この条件で釣れると確信した。
伊吹翼
『邪道』そう、これは邪道な手段だ
伊吹翼
コンテンツの発展には、異性からの支持層も必要不可欠だ。
伊吹翼
そこまでするかと凶弾されるだろう。しかし今まで溜まりに溜まったフラストレーションを
伊吹翼
抑えることができなかった。
伊吹翼
それに同じ趣味、同じアイドルが好きであるなら気が合うであろう
伊吹翼
このやり方はエゴだ。アイドルをだしに使っている
伊吹翼
だが、決して勘違いしないで欲しい。そのアイドルも好きだしライブにもちゃんと向かうんだ。
伊吹翼
これはいわゆる、アフターサービスみたいなものなんだと自分に言い聞かせた
伊吹翼
……。
伊吹翼
約束どおりの時間に、その娘が到着する
伊吹翼
巷では、そのコンテンツはとっくに終わっていると言われてるそうだ。
伊吹翼
しかし、こうして若い異性の支持層をみるとまだしばらくは平気だろうと思えてくる。
伊吹翼
ーーああ、この気持ちはたまらなく愛しい
伊吹翼
条件通りチケットを渡し、お礼と感謝の言葉を告げている。礼儀もあって好印象だ。
伊吹翼
その男は、喜びのあまり「早速だが…」とベッドの上で準備を始めた。
伊吹翼
少し、行き急いだ発言だったかもしれない。
伊吹翼
だが向こうも決して、目当ての物を貰ったから義務感で付き合うという雰囲気にはみえない。
伊吹翼
同じ匂いを感じたからだ。きっと彼女もここに来るまで寂しい気持ちだったに違いない。
伊吹翼
ーー大丈夫だ。頭の中でシミュレーションは組んである。
伊吹翼
後は、こちらのテクをぶつけるだけだ…。
伊吹翼
……。
伊吹翼
…………。
伊吹翼
さぁ、行くぜ
伊吹翼
[LIFEーー4000] ─────── [LIFEーー4000]
伊吹翼
決闘(デュエル)開始だ!!
伊吹翼
そう………男は、三度の飯よりカードゲームが大好きな
伊吹翼
決闘者(デュエリスト)だったのだ…
(台詞数: 36)