恋と乙女の翼広げて
BGM
Believe my change!
脚本家
親衛隊
投稿日時
2016-02-29 22:18:55

脚本家コメント
何気に初ばさばさだったり。

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伊吹翼
誰かを好きになるということは、束縛されるということ。
伊吹翼
もしそれが本当なら、わたしの恋と自由を掛けた天秤は、常に自由を選んでいたのだろう。
伊吹翼
後悔などない。意識すらしていない。
伊吹翼
そもそも、今までのそれらを恋と呼ぶには大袈裟だったのかもしれない。
伊吹翼
きっとそうだ。
伊吹翼
そうでなければ、前を歩く彼との間を埋める方法なんて模索したりしない。
伊吹翼
(もっと、傍に寄ろうかな)
伊吹翼
(腕、組んじゃおうかな)
伊吹翼
(でも……)
伊吹翼
気付けば、つい思考してしまう自分に嫌気がさして――
伊吹翼
(……つまんない)
伊吹翼
楽しいはずのデートに暗影がさす。
伊吹翼
そう、デート。
伊吹翼
今日この日を心待ちにし、数日前から雑誌を読んで研究していた。
伊吹翼
このわたしが、だ。
伊吹翼
偏に『初めてのデート』という特別を成功に導きたかった。
伊吹翼
雑誌によれば『異性の心を射抜くには、異性に対し淑やかになれ』とあった。
伊吹翼
だが――実践してすぐに、わたしには向かないと悟る。
伊吹翼
結果、二人して沈黙。鈍感な彼でもいい加減察しているだろう。
伊吹翼
淑やかを振る舞って彼の半歩後ろを歩けば、距離はすぐに離れてしまう。
伊吹翼
その度に、少しずつ胸が締め付けられていって――。
伊吹翼
(あれ?)
伊吹翼
ふと疑問を覚えた。
伊吹翼
わたしはただ、デートを成功させたかったはずだ。
伊吹翼
もちろん絶賛失敗中なのは火を見るより明らかで。
伊吹翼
では、この胸の高鳴りはどこから?
伊吹翼
徐々に離れゆく彼の背を見て、心に湧いた感情の正体は?
伊吹翼
「……!」
伊吹翼
駆け出す。
伊吹翼
そして、空いている彼の右腕へとしがみついた。
伊吹翼
「ねえねえ、あっちのお店に行きません?」
伊吹翼
「……ダメぇ?」
伊吹翼
何かに頼ったり、悩んだり。
伊吹翼
うん、らしくないよね。
伊吹翼
らしくないなら考えなくていいじゃん。
伊吹翼
どう足掻いたって、わたしはわたし。
伊吹翼
勝算なんてなくたって構わない。
伊吹翼
わたし流で辿り着く場所へと向かうだけ。
伊吹翼
たとえ、それが道なき道であったとしても。
伊吹翼
「えへへ、優しい〜」
伊吹翼
カオを上げて前へと進むんだ。

(台詞数: 41)