田中琴葉
田中、琴葉…ことは。
田中琴葉
それは、生まれたときからずっと一緒にあって、そして…大好きで大切な、私の名前。
田中琴葉
そう思うようになったきっかけ…あれは、小学校の何年生のころだったかしら?
田中琴葉
授業で、先生から自分の名前の意味を調べてきなさいって言われて…。
田中琴葉
まずは自分で考えてみようって、色々調べてみたのよね。
田中琴葉
でも、琴は楽器で、葉っぱは植物。
田中琴葉
その繋がりがわからなくって、結局授業で発表する前の日まできてしまって。
田中琴葉
べそをかきながら答えを聞きにきた私を、お母さんは優しく抱きしめながら、教えてくれた。
田中琴葉
「『琴葉』はねえ…『ことば』なんだよ。」
田中琴葉
「あなたの周りに、素敵なことばがたくさん集まりますようにって。」
田中琴葉
「そして、あなたも素敵なことばで、みんなを幸せにしてあげられますようにって。」
田中琴葉
その言葉に、私はわんわんと泣いてしまったのを憶えている。
田中琴葉
お母さんのことばが、子供心にも、自分への愛にあふれているのを感じたから。
田中琴葉
…半分くらいは、自分の名前が変なものじゃないっていう安心感だったかもしれないけど。
田中琴葉
とにかく、それ以来、私は自分の名前を大事に、大事に思ってきた。
田中琴葉
そして、今。私の周りには、素敵なことばが、いっぱいきらめいている。
田中琴葉
ファンのみなさんが私にくれた、元気が出て、励まされて、涙が出てしまう、たくさんのことば。
田中琴葉
51人の仲間たちの、気持ちが安らいで、胸が温かくなって、心が楽しくなる、いくつものことば。
田中琴葉
私を見守ってくれる人たちの、時に厳しく、時に優しいことば。
田中琴葉
そしてあの人がくれた、とても、とても大切な…ことば。
田中琴葉
本当に、お父さんとお母さんが私にそうなってほしいって祈ってくれたとおりになったね…。
田中琴葉
…でも、まだ半分だよね。今度は、私が幸せなことばを、みんなに返していかないと。
田中琴葉
もちろん、その第一号は、決まっていた。
田中琴葉
「お父さん、お母さん。私を産んでくれて、ありがとう。」
田中琴葉
「私に、本当に素敵な名前をつけてくれて、ありがとう!」
田中琴葉
お父さんと、ずっと前の話を忘れていたお母さんは、きょとんとした顔をしていたけどね。
田中琴葉
まあ、それでも。これからも、そして他のみんなにも、一つずつしっかりと返していくつもり。
田中琴葉
さて、次は…。
田中琴葉
机の上に置かれたプレゼントボックスに目を向ける。
田中琴葉
あの人へのことば。どこか恥ずかしくって、うまく頭の中でまとまってくれない。
田中琴葉
いつか貰った万年筆で、便箋に一字一字、書いては悩んで、悩んでは書き直して。
田中琴葉
なんとか手紙という形になったときには、夜もかなり遅くなってしまった。
田中琴葉
ありがとうだけではとても伝えきれない想いが詰まったそれを、絶対に忘れないように鞄に入れて。
田中琴葉
電気を消してベッドに寝転びながら、明日のことを思った。
田中琴葉
私のことば、届いてくれるかな…?
田中琴葉
…届いてくれたら、いいな。
(台詞数: 36)