田中琴葉
写真の中の君は、僕に笑いかけてくれている。
田中琴葉
あの頃のまま。ずっとあの瞬間が続けばどんなに良かったか。
田中琴葉
不慮の事故。意識を戻さない君。
田中琴葉
医師からは明日意識が戻るとも、戻らないとも分からないと言われている
田中琴葉
医師『ずっと話しかけてあげてください。手を握ってあげてください。諦めないで下さい』
田中琴葉
そう言われて毎日毎日、君へ話続けた。
田中琴葉
今日あったこと、明日の予定、出張先の出来事、同僚の昇進、同僚の子ども自慢
田中琴葉
あれから何年たっただろう。
田中琴葉
下手だった僕の料理も随分上手くなった。
田中琴葉
いつも注意されていた掃除も仕方も完璧になった。
田中琴葉
洗濯干すときもしわを伸ばすようになったよ。
田中琴葉
全部君が教えてくれたこと。
田中琴葉
君がやってくれていた事なんだね。
田中琴葉
どれだけ話しかけても、にこりともしてくれない。
田中琴葉
褥瘡ができないようにこまめに体位を変換して。
田中琴葉
おむつの交換もして
田中琴葉
体を拭いて
田中琴葉
たまに抱き締めて
田中琴葉
一言
田中琴葉
たった一言でいいんだ
田中琴葉
『ありがとう』
田中琴葉
そう言ってもらえるなら、どんなに救われるんだろうか
田中琴葉
僕は君の事をこんなに…
田中琴葉
僕は君の事をこんなに…こんなに…
田中琴葉
………
田中琴葉
いつまで続けるのかな
田中琴葉
いや、いつまで続けることが出来るのだろう
田中琴葉
きっと…僕の料理も、掃除も、洗濯も、仕事も、趣味も、経験も全て…
田中琴葉
人生全てを君に捧げる事になるんだろう。これまでも、そしてこれからも
田中琴葉
でも、疲れたんだ
田中琴葉
少し位…休んだっていいだろう?
田中琴葉
それとも一緒に…
田中琴葉
休んでくれるかい?
田中琴葉
ふふふ…
田中琴葉
………
田中琴葉
………
田中琴葉
………
田中琴葉
(ぐっ)
(台詞数: 38)