ReRise第37話『決戦の火蓋』
BGM
Thank You!765THEATER ver.
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-05-10 00:36:41

脚本家コメント
次回、出来次第の更新です。

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田中琴葉
衣装もブーツも、アクセサリーも…異常なし。
田中琴葉
多くの想いを背負って立つ決勝のステージに、つまらないことで水を差したくないものね。
高坂海美
「いいよ、琴葉!背中も大丈夫!」
田中琴葉
自分で見えない部分をチェックしてくれた海美ちゃん。
宮尾美也
「は~い、琴葉ちゃん。お水ですよ~。」
田中琴葉
汗を拭いたり、ペットボトルを差し出したりしてくれている美也。
田中琴葉
「ありがとう、二人とも。」
田中琴葉
『灼熱少女』のメンバーでは、この二人が付添いとして、私の傍に居てくれる。
田中琴葉
流石に全員は邪魔になってしまうので、恵美と環ちゃんは観客席からの応援にしてもらった。
田中琴葉
誰が私の付添いをするかで、結構揉めたけどね…。
田中琴葉
だけど、四人の中で美也だけは、私からお願いして傍に居てもらうことにした。
田中琴葉
恵美から聞いた話になるけど、私を立ち直らせてくれたきっかけを作ったのが、美也だったから。
田中琴葉
みんなで話し合ったとき、ただ一人美也だけが、私に理解を示す発言をしたらしい。
田中琴葉
他の三人は、やはり私を止めるべきではないかっていう意見が強かったと言っていた。
田中琴葉
それなのに、美也は粘り強く、そして丁寧にみんなと話し続けて…。
田中琴葉
そして最後には、みんなの心をひとつにしてしまったというのだから、本当に驚いてしまった。
宮尾美也
「ん~?どうかしましたか~?」
田中琴葉
私の視線に気付いた美也が、微笑みをたたえた顔でこちらを見る。
田中琴葉
「ふふっ…。美也って、実は私以上に熱血よねって。」
宮尾美也
「そうですか~。私も、『灼熱少女』の一人ですから、とろ火でも燃えてるんですよ~。」
宮尾美也
「じっくり煮込むのなら、おまかせです~。」
田中琴葉
その返しに、私はくすっと笑った。
田中琴葉
色々な火が集まった『灼熱少女』。中にはこういう火があるのも、面白い。
田中琴葉
美也だけではなくて、海美ちゃんも、恵美も、環ちゃんも。
田中琴葉
それぞれの火が、私をどこまでも熱くしてくれる。
宮尾美也
「琴葉ちゃんは、と~っても大きくて綺麗な、紅い炎ですよ~。」
田中琴葉
美也の言葉に、私は頷く。
田中琴葉
体も心も、そして立ち塞がる強敵も。全てが揃っていて、これ以上望むものはなかった。
高坂海美
「琴葉!時間だって!」
田中琴葉
スタッフさんからの指示を受けて、海美ちゃんが私に声をかけた。
田中琴葉
「行ってくるわね。」
田中琴葉
後ろを振り向くこともなく、ステージに向かう私の背中に。
田中琴葉
それは、何度も聞いて胸に刻み込まれた、私たちの合言葉だった。
宮尾美也
「灼熱少女~!」
高坂海美
「ブレイズアップ!!」
田中琴葉
エールを送る二人に手を挙げて応えながら。私は燦々と輝くステージに一歩を踏み出した。
田中琴葉
ステージの中央に向かう私に、ファンから押しつぶされそうな程の歓声が投げかけられる。
田中琴葉
熱い。なんて熱気なの…。
田中琴葉
この一戦に期待するファンのものか。それとも、反対側の舞台袖からこちらを見る静香ちゃんか。
田中琴葉
ステージを照らすスポットライトの熱量?あるいはその全てかもしれない。
田中琴葉
…いいえ、違うわね。
田中琴葉
何より熱いのは、私。
田中琴葉
ようやく、解き放てる。この胸に溜めてきた、私の想いのたけを。
田中琴葉
かっと音を立てたヒールが、始まりの合図だった。
田中琴葉
…さあ、行くわよ。火蓋を切ったら、止まらないわ。
田中琴葉
今、私は燃え盛る一つの炎。
田中琴葉
その目に、耳に、心に。焼き付けてあげる。私の灼熱の歌を。
田中琴葉
紅いルージュを引いた唇を、私はそっと開いた。
田中琴葉
「…私に想いを注いでくれた、すべての人に捧げます。」
田中琴葉
「…聞いてください。『ジレるハートに火をつけて』。」

(台詞数: 50)