大神環
お姉さん。
田中琴葉
……あら、どうしたの?迷っちゃった?
大神環
迷ってると言えば、迷ってるけれど。少し尋ねても良いかい?
田中琴葉
勿論。道案内でも参拝の作法でもなんでも聞いて?
大神環
あの中って、何があるの?
田中琴葉
ああ、そういう事ね。御本殿には、簡単に言えば神様がいるのよ。
大神環
神様……。
田中琴葉
たしかに想像はし辛いかもしれないけど、ちゃんと……
大神環
その神様って言うのは、人の形をしているの?
田中琴葉
……いいえ、神様に形、体は無いのよ。でもこうして社を建てると……
大神環
じゃあ、簪なんて必要ないね。
田中琴葉
……
田中琴葉
……どういうことかしら?
大神環
あの神棚みたいなやつの中にね、とっても綺麗な……
田中琴葉
もしかしてあそこに入ったの?だめよ勝手にそんな事しちゃ……
田中琴葉
というか、いったいどうやって入ったの?これだけ人がいるなら誰か止めるはずなのに。
大神環
裏側からだよ。
田中琴葉
……
大神環
お姉さんと、おんなじようにね。
田中琴葉
……
田中琴葉
……あなた、私の友達に似てるわ。
大神環
答えてはくれないの?
田中琴葉
こっちへ来て。お茶でも飲みながら話しましょう。おぜんざいも奢っちゃうわよ。
大神環
……
田中琴葉
ダージリンで良かった?
大神環
緑のお茶だと思った。
田中琴葉
朱色は魔を払うのよ。
大神環
そこまで赤くないけど。
田中琴葉
さて、どうやってあの道に気づいたの?
大神環
……それはこっちのセリフなんだけど、まあいいや。
大神環
さっきも言ったとおり、見てたからだよ。お姉さんが森のなかへ入っていくのを。
大神環
まさか、本殿につながっているとは思わなかったけど。お姉さんが用意した道なの?
田中琴葉
注意したつもりだったのに、見られてたのね。初めてだわ。
大神環
いきなり巫女さんが一人増えたらさ、普通気がつくよ。
田中琴葉
普通は気づかないと思うけどなあ。
田中琴葉
さて、質問に答えるとあの抜け道は随分前からあった隠し通路ね。用意なんて出来ないわよ。
大神環
随分前?
田中琴葉
そもそもそういう風に建てられてたんじゃないかしら。
大神環
何のために?
田中琴葉
そこはロマンよね。でもきっと、神様を宿すって大変な事なのよ。
大神環
あそこの人たちは気づいてるのかな?
田中琴葉
私もあなたも無事に通れたってことは、気づいてないんじゃない?
大神環
あの簪は?なんであんなところに置いてきたの?
田中琴葉
……返しただけよ。あそこにあるべきだからね。
大神環
だから、わざわざあの中においた理由は?
田中琴葉
……演出、かしら。でも近いうちに気づかれると思うわ。お祭りあるし。好きなの、こういうの。
大神環
そんな、曖昧な物の為にそんな事をしているの?合理的じゃない。
大神環
ねえ、お姉さんみたいな賢い人がそんな意味分からないことをする、何か理由があるの?
田中琴葉
……ホントに何処かで見たことあるわ。そういう感じ。そうね、私はわからないけど。
田中琴葉
分かりそうな人なら、知ってるわよ。
(台詞数: 50)