田中琴葉
『拝啓 プロデューサーへ』
田中琴葉
『突然の手紙でびっくりしたと思います。』
田中琴葉
『突然の手紙でびっくりしたと思います。…別に深刻な内容ではないのですが。』
田中琴葉
『武道館のライブを直前に迎えた今、改めて感謝の気持ちを手紙にして伝えたいんです。』
田中琴葉
『手紙だとプロデューサーの手が空いたときに読めますし、』
田中琴葉
『…実際に面と向かって伝えようとすると、きっと言葉にならないと思いますから。』
田中琴葉
『武道館でのライブが決まったとき、私の心は嬉しさと不安が綯交ぜになっていました。』
田中琴葉
『あの、憧れのステージである武道館で歌える喜びと、』
田中琴葉
『あれだけの舞台で歌うことに対する不安があって、地に足がつかない気持ちでした。』
田中琴葉
『結果、レッスンどころか私生活にすら身に力が入らず…』
田中琴葉
『トレーナーさんや先生、両親にも心配をかけてしまっていました。』
田中琴葉
『そんな時、プロデューサーは私の手を握ってくれて。』
田中琴葉
『「琴葉なら大丈夫だ。不安なら、俺やみんなを頼れ!」と言ってくれました。』
田中琴葉
『握ってくれた手がとても大きくて、温かくて、私の不安をあっという間に溶かしてくれました。』
田中琴葉
『…実際にはまだ不安はありますが。』
田中琴葉
『プロデューサーの言葉と温かさと、周りの皆のおかげで、絶対に成功さらせれると思います。』
田中琴葉
『ただ、ちょっとだけ問題があって…。』
田中琴葉
『プロデューサーが握ってくれた時のことを思い出すと、頬が熱くなってしまいます。』
田中琴葉
『他の人の言葉を借りれば、浮足立つというか、熱病に浮かされたというか…』
田中琴葉
『こんな、気持ちが不安定な状態で無事ステージを迎えられるのでしょうか…?』
田中琴葉
『こんな、気持ちが不安定な状態で無事ステージを迎えられるのでしょうか…?』…【ピタッ】
田中琴葉
…え、待って。私、いくら言葉がまとまってないとはいえ、こんな手紙を渡すつもりなの?
田中琴葉
ダメよ琴葉!感謝の気持ちを伝える手紙なんだから、むやみに不安をあおるような言葉はダメ!
田中琴葉
使える文章はそのまま使って、最後の方は新しく感謝と決意を書くようにして…。
田中琴葉
流石に新しい便箋に書き直さなきゃ。えっと、拝啓プロデューサー…。【カキカキ】
田中琴葉
――――――――――。
田中琴葉
『見ていてくださいね、プロデューサー。 琴葉』
田中琴葉
…よし。後はこの手紙を封筒に入れて…。
田中琴葉
…えっ!?もうこんな時間なの!?えっと、封筒封筒…。
田中琴葉
――――――――――。
田中琴葉
―――――――次の日。
田中琴葉
ただいま、今日もいいレッスンだった。
田中琴葉
あ、昨日手紙を書いたまま片づけてないわ…。
田中琴葉
あ、昨日手紙を書いたまま片づけてないわ…あれ?
田中琴葉
これ、書き直した手紙よね。と言うことは…。
田中琴葉
……。
田中琴葉
わあああああ!?て、手紙は絶対に読まないでください、プロデューサー!!
(台詞数: 37)