
田中琴葉
怯えてるのでしょう?

田中琴葉
日々、迫る焦燥に。

田中琴葉
恐怖しているのでしょう?

田中琴葉
生きる。そんな当たり前の事に。

田中琴葉
……ああ、まただ。

田中琴葉
忌々しい筺。形を持たない悪魔の筺。

田中琴葉
時には希望。時には虚飾。

田中琴葉
形がない故に、どんな形にもなれる魅惑の筺。

田中琴葉
人は問う。己が筺から信念を取り出して。

田中琴葉
信念という名の傲慢さを以て、私に問う。

田中琴葉
痛みを味わうのがそんなに嫌か?

田中琴葉
当たり前だ。

田中琴葉
生きるのが嫌か?

田中琴葉
そんな訳ない。

田中琴葉
では、君は──

田中琴葉
では、私は──

田中琴葉
どうしたいの?

田中琴葉
答えの見えない無限回廊に躓く。

田中琴葉
いや、答えなんて最初から無いのかもしれない。

田中琴葉
なら、どうして生きているの?

田中琴葉
どうして、生きなければならないの?

田中琴葉
懊悩は遂に心まで蝕み、終わりへと私を手招く。

田中琴葉
……恵美、覚えてる?

田中琴葉
あなたは、そんな私を見て叱った。

田中琴葉
ごちゃごちゃ考えるな、って。

田中琴葉
雑だけど、雑だから心に響いたんだよ。

田中琴葉
ありがとう。

田中琴葉
あなたと歩んで私は変われた。

田中琴葉
あなたが居たから、今日までの私が在れた。

田中琴葉
あの時は忌々しかった筺。いつの間にか私にも宿っていた筺。

田中琴葉
今では──なんて綺麗なんだろうと思える。

田中琴葉
筺の中は燦然と輝く億千の光の粒。

田中琴葉
その1つ1つが、あなたとの思い出で満たされてる。

田中琴葉
心配しないで。今度は私の番。

田中琴葉
迫る焦燥に怯えてるのでしょう?

田中琴葉
生きる事に恐怖しているのでしょう?

田中琴葉
ねえ、恵美。

田中琴葉
痛みを味わうのが嫌?

田中琴葉
──当たり前だ。

田中琴葉
生きるのが嫌?

田中琴葉
──そんな訳ない。

田中琴葉
そっか。それなら私と同じね。

田中琴葉
勇気を出して、そこから手を伸ばして。

田中琴葉
私の手をしっかり握って。

田中琴葉
そこは、あなたの居るべき場所じゃない。

田中琴葉
大丈夫。痛くなんてないわ。

田中琴葉
あの時、あなたが私に与えたように。

田中琴葉
今度は──私の「宝物」を、あなたの筺に入れてあげて。

田中琴葉
そうすれば、必ず見える。

田中琴葉
歩むべき道は、光に満ち溢れてるって。
(台詞数: 50)