田中琴葉
8月31日、夏休み最終日
田中琴葉
天気は快晴、ジリジリと照りつける太陽が眩しい。
田中琴葉
私はいつも通り、仕事を終えプロデューサーと待ち合わせをしていた。
田中琴葉
少し遅れてあなたがやってくる...ゴメンといつも通りの言葉を私にかける。
田中琴葉
「大丈夫ですよ、私も今来たばかりですから。」
田中琴葉
本当は嘘...だけどあなたの困る顔は見たくないから...精一杯の嘘をついた。
田中琴葉
『暑かっただろ? 何か買ってくるけどどうする?』...彼に向かってこう答えた。
田中琴葉
「それではお言葉に甘えて...向こうに評判のアイスクリーム屋さんがあるので行きましょう。」
田中琴葉
そして私達はそこに移動し、野外席でアイスを食べる。
田中琴葉
そうとう暑かったのか、彼はあっという間にアイスを食べ終わってしまった。
田中琴葉
周りでは食べさせ合いをするカップルもいた...そのためかプロデューサーにこんな質問をした。
田中琴葉
「そういえば、学生時代のプロデューサーって、どんな感じだったんですか?」
田中琴葉
過去をあれこれ聞くのはよくないけど...親友にすっかり影響されてしまっていた。
田中琴葉
『別に...なんてことのないただの非リア充さ』と彼は笑いながら言った。
田中琴葉
...少し意外だったかも。 もっとはっちゃけた青春を送っているのかと思ってた。
田中琴葉
『そういう琴葉はどうなんだ?』と彼は私に聞いてきた。 私もそれに答える。
田中琴葉
「私はアイドルですから恋愛とかは...でも、ちゃんと青春をしてるかもしれません。」
田中琴葉
『そっか...』と彼は言い大きく上を向いた。 彼の喉仏が私の目に映る
田中琴葉
『最近仕事続きだったから、いい気晴らしになっただろ?』と彼は私に言ってきた。
田中琴葉
私の事を気づかっていてくれた...それがたまらなく嬉しい。
田中琴葉
「ありがとうございます、おかげで明日から頑張れそうです。」
田中琴葉
私達は二人で事務所までの道を歩いていく...明日から9月が始まり、夏が終わる。
田中琴葉
高校最後の夏は、戻ってこない。 だけど私はアイドルだから...前へ進む。
田中琴葉
『あーあ、夏休みも社会人はなしか~! 高校の頃に戻りたいわ~!』
田中琴葉
『はぁ...高校時代に琴葉に出会えてたらデートの一つや二つ、してたのにな...。』
田中琴葉
...彼はそういうと、持っていた缶を近くのゴミ箱に投げ捨てた。
田中琴葉
8月31日、高校最後の夏休み
田中琴葉
この体の火照りや胸の苦しさはきっと夏のせいじゃない。
田中琴葉
そうこれは....
田中琴葉
そうこれは...恋
田中琴葉
胸の鼓動や視線、すべてあなたへ向いてしまう恐ろしい病。
田中琴葉
そんな気持ちになってしまったのは他でもない...
田中琴葉
そんな気持ちになってしまったのは他でもない...すべて青春のせいだ。
(台詞数: 33)