夕日、沈んで
BGM
ホントウノワタシ
脚本家
かもねぎ
投稿日時
2016-08-20 20:23:39

脚本家コメント
慣れない地の文チックなドラマ、楽しんでいただければ幸いです。

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田中琴葉
「夕日、綺麗ですね」
田中琴葉
僕の隣で膝を抱えて座る彼女は、夕日を見つめながら呟いた
田中琴葉
そうだね、なんて返してみようとするけど、それじゃ少しありきたりな気がしてつまらないと思って
田中琴葉
じゃあなんて返そう、なんて考え込むと無言の間が続いてしまってきっと気まずくなってしまう
田中琴葉
君の方が、なんて返してしまったなら、困った風にぎこちなく笑うのかなぁ
田中琴葉
そう思った僕は結局、「そうだね」なんてありきたりな返事をしてしまった
田中琴葉
「きっと、2人で見ているからかもしれませんね」
田中琴葉
……そうやって立て続けに歯の浮くようなことを言われると、返す言葉に困るんだけどな
田中琴葉
もしかしたら、からかわれているのかもしれない。……いや、琴葉に限ってそれはないか
田中琴葉
彼女の言葉は、どんなことでもきっとホントの琴葉で。無理していても言葉に溢れていることがある
田中琴葉
だから、女性経験の少ない僕のことをからかっている、なんて可能性はきっとない、はず。
田中琴葉
………そう思うと、さっきの言葉はホントの気持ちなのか
田中琴葉
やっぱり、からかわれているようにしか思えなくなってきた
田中琴葉
「あの、プロデューサー?そんなに顔をしかめて、どうかしましたか?」
田中琴葉
しまった、顔に出てたか
田中琴葉
なんでもないよ、なんて当たり障りのない返事をすると
田中琴葉
「……もしかして、お時間もらったこと、迷惑でしたか」
田中琴葉
重ねて反省、そんなつもりはなかったのに。
田中琴葉
私情がほとんどの理由ではあるけれど、その大部分は琴葉のことを考えてのことだった
田中琴葉
しっかりしているからこそ、少しのミスでも深く反省しすぎてしまう彼女をカバーしたかったし
田中琴葉
なにより、彼女のことを見ていたかったから
田中琴葉
…なんて私情を言い訳にすることはできないから、また当たり障りない答えを返してしまう
田中琴葉
「あの、他の子のことが気になるなら…」
田中琴葉
ストップ。そう言って彼女の言葉を遮る
田中琴葉
今この時間は琴葉にあげた時間。
田中琴葉
あげたんだから琴葉の好きに使ってほしいし、他の子は気にしないでほしい
田中琴葉
…なんて、少し歯の浮くようなことを言ってみると、琴葉は少しビックリしたようで
田中琴葉
「……ありがとうございます」
田中琴葉
そう言って、また夕日の方を見てぎゅっと膝を抱えてしまった
田中琴葉
……今のは、くさかったかな
田中琴葉
何度目の反省だろうか、考え込んでしまってまた無言の時間が続いてしまっていた
田中琴葉
「……あ、一番星」
田中琴葉
…本当だ。空を見上げると一際輝く星が夕日に負けないようにキラキラ光っていた
田中琴葉
一緒に、空を見上げて。夕日が2人の顔を赤く染めていた。
田中琴葉
「もうすぐ夕日、沈んじゃいますね」
田中琴葉
「…沈まないでほしいかも」
田中琴葉
「だって、プロデューサーのこと、ちゃんと見えませんし」
田中琴葉
「それに……ふふ、今なら顔が赤くなっていてもわかりませんから」
田中琴葉
そう言って、笑いながら夕日に照らされた彼女
田中琴葉
…頬は、夕日に負けないくらい赤かったけど。

(台詞数: 40)