田中琴葉
「うおおおぉぉ!!舞地義理(ぶっちぎり)だァ!!!」
田中琴葉
―――アタシは今、市のサイクリング大会で全速力でペダルを漕いでいる。
田中琴葉
学校では名の知れた泣く子も黙る、札付きの不良。…だった。
田中琴葉
過去形となったのはほんの些細な事だった。ある野郎の一言によって…
田中琴葉
「田中さんは可愛いんだし、何か一つでも打ち込めるものがあれば変われるよ」
田中琴葉
不良であるアタシに対して物怖じせず、アタシの目を真っ直ぐに見据えて言い放ちやがった。
田中琴葉
情けない事にあれからアタシはソイツの事が気になって仕方なかった。
田中琴葉
か、可愛いって初めて言われたし……。それに…
田中琴葉
変われると言われた事。アタシだって好きで不良してる訳じゃない。変われるなら…
田中琴葉
変わってみようじゃねぇか。そう決めた。何に打ち込むか考えながら廊下を歩いていたら…
田中琴葉
あるポスターが目に入った。「市主催サイクリング大会」
田中琴葉
そういえば小さい頃、自転車に乗るのが大好きで一日中乗り回してたっけ…
田中琴葉
これにしよう。賞品とかどうでもいい。アタシは自分の脚でどこまで走れるか挑戦したくなった。
田中琴葉
アタシがサイクリング大会に出ると知って、野郎は「応援に行くよ!」と笑顔で言い放ちやがった。
田中琴葉
…なぜだろう。ドキドキした。この気持ち、なんだろう…。
田中琴葉
―――そして今…
田中琴葉
「よし、このまま一直線、全力で漕げば一位…!!勝つぜオラァ!!」
田中琴葉
「そして…ゴールした時…あの野郎に言ってやる…!サイクリングを通じて理解したこの気持…!」
田中琴葉
―――ゴール前にいる野郎と目が合った。私は言い放った…。
田中琴葉
「お前が好きだぁぁぁぁぁ!!!アタシと付き合って下さいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
田中琴葉
―――野郎…彼は、笑顔で頷いた。そしてゴールイン。
田中琴葉
～FIN～
田中琴葉
あの、プロデューサー。この役の練習、自転車漕ぎながらしてたらお巡りさんに怒られたんですが…
田中琴葉
P『取り締まり厳しくなったから…って普通に怪しまれるから!!』
(台詞数: 24)