百瀬莉緒
……私がアイドルになったきっかけの話、したことがあったかしら?
田中琴葉
……聞かないです。
百瀬莉緒
ま、大した話でもないんだけどね。学生時代から、私イケてる方だったし、イケイケだったわけ。
百瀬莉緒
だからね。その気になれば何時だって、素敵な彼氏を作れるって思ってたの。
百瀬莉緒
でもね。結局当時は誰かと付き合うことが無かったわ。なんでだと思う?
佐竹美奈子
……
百瀬莉緒
結局さあ、単なる美人より、気の利く美人がウケるわけ。一部には冷めてる系美人もウケるけど。
百瀬莉緒
その次に受けるのは、気の利く普通の娘。最後は気の利くイマイチなルックスの娘ね。
百瀬莉緒
それが分かってから、お姉さんも人並み以上には努力したわ。料理したり、合コンテク磨いたり。
田中琴葉
……
百瀬莉緒
ま、それも途中で止めちゃった!やっぱり人間、向き不向きとか素質の問題があるのよね〜。
百瀬莉緒
学生生活が終わってから、普通に事務職に就いて。男の人の中で働く日々よ。
百瀬莉緒
そのうちオフィスラヴだとか、上司の縁でお見合いとか有るかなって期待してたけど……
百瀬莉緒
それも無かったわ。学生も社会人もお付き合いには大差ないし……
百瀬莉緒
お見合いでくっつけるなら、私みたいに血縁のコネがない人は選ばれないわ。
百瀬莉緒
そんなことにも気づかないなんて、私もコドモだったってことね。
佐竹美奈子
……
百瀬莉緒
でね。学生時代の同期がデートの話をすると、どうしても淋しくなってきたの。
百瀬莉緒
……なんで私には、私を想ってくれる人が居ないのかな、って。
百瀬莉緒
だから、乾坤一擲のつもりで芸能事務所の扉をノックしたの。
百瀬莉緒
何にもない私だけど、見たくれだけからでも、受け入れて想ってくれる人が出て来てほしいってね。
田中琴葉
……
百瀬莉緒
時間は掛かっちゃったけど、私、やっと充実した日々を送れてるわ。
百瀬莉緒
私が歩くだけで反応してくれる人がいて。声でも掛ければ一緒に呑んでもくれて。
百瀬莉緒
もちろん、その後も……ね。
百瀬莉緒
あ、プロデューサーくんには秘密よ。今こうしているみたいに、男の人と一緒になってるなんて。
百瀬莉緒
……今は、満たされてるわ……あ、本当に満たされるのはこの後だけどね。
佐竹美奈子
……
田中琴葉
……
田中琴葉
……美奈子さんの『術』は、しっかり効果を表しているようですね。
佐竹美奈子
ええ……施餓鬼米を搗き上げて、人型に整え……男性に見せかけて。動きは封じてます。
田中琴葉
……今のうちに、破魔の矢を以って滅さねばならないわ。
田中琴葉
かつての私達の先輩……今は、夜な夜な人を喰らう屍鬼と化した、莉緒さん……
佐竹美奈子
言葉を交わせば魔に囚われてしまうから……莉緒さんの苦悩を聞いても、もう答えられない。
田中琴葉
そうね……せめて、縁のあった私達の手で、完全に消滅させましょう。少しでも美しく終わるよう。
百瀬莉緒
あらキミ、とっても美味しそうね……私の妖しい魅力に圧倒されながら、食べられちゃいなさ〜い。
(台詞数: 36)