Yang〜手の届かない貴女(琴葉誕生日)
BGM
透明なプロローグ
脚本家
イッパイアッテサ
投稿日時
2014-10-05 11:27:08

脚本家コメント
「陽」と「陰」とは、共に存在するもの。どちらかだけでは世界は成り立たない。
ということで、琴葉のドラマは二本投稿する予定です。
ただしこのあとLVに行くので、もう一作は遅い時間の投稿になる見込みです。

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七尾百合子
……敵わない。正直、そう感じた。
七尾百合子
琴葉さんとの出会いは、私がとある演劇コンクールを観に行ったときだ。
七尾百合子
私は観客。琴葉さんは演者。だから、出会ったと言っても、面識は無い。
七尾百合子
琴葉さんの演技は、あまりに自然で、それでいて役を十二分に演じていて……
七尾百合子
……所詮舞台は作り物、そんな当然の常識さえ忘れてしまっていた。
七尾百合子
幕が下りるまで、舞台上の世界が「現実」で……客席の私がその現実に存在していなかった。
七尾百合子
……縁有って、私はその後、アイドルとしてスカウトされ、レッスンとステージじを経験した。
七尾百合子
……琴葉さんもいたのは、全くの偶然。話すようになったのもそのときからだ。
七尾百合子
……私は早々に挫折しそうになった。いや、上手くできる自信もそもそも無かったから、少し違う。
七尾百合子
運動神経はお察しなので、ダンスレッスンには付いていけない。
七尾百合子
音楽の授業くらいしかしてないから、歌だってカラオケレベルだった。
七尾百合子
唯一評価してもらえたのは、お芝居。いつも空想している分、キャラに成り切ることは難しくない。
七尾百合子
……でも、高校生クラスの発表を観て、また自負は失われた。
七尾百合子
私の演技は、『怪』・突飛もない設定、『力』・極端なキャラ作り……
七尾百合子
『乱』・日常とかけ離れた世界、『神』・インパクトを与えることに専念した演じ方……
七尾百合子
そんなものしか引き出しは無い。琴葉さんは、いつかのコンクールより上達していたのに。
七尾百合子
……いっそアイドルを辞めてしまえば、自分の惨めさからは逃げられるかも。そう考えていた。
七尾百合子
でもそんなとき、中学生クラスの発表を観てくれて、彼女はこう言ったのだ。
田中琴葉
『百合子ちゃん、すごく舞台で輝いてたよ。あんなに楽しそうに演じられるなんて、才能かな。」
田中琴葉
『私ももっと力をつけて、もっと高みにいかないと……今日百合子ちゃんを観て、そう思った。』
七尾百合子
……辞めるに辞められなくなった。私が密かに目標にしていた貴女は……なぜか私を目標にしてた。
七尾百合子
小説にあるようなライバル関係を望むのは烏滸がましいけど……
七尾百合子
逃げるべきじゃない。私は私のできることを高めることが、貴女への礼儀だと思う。
七尾百合子
……
七尾百合子
ところで、琴葉さんは、いつも『琴葉さん』を演じている、そんな気がしてならない。
七尾百合子
優等生で、勉強も出来て、淑やかで、リーダーシップがとれて、あまり不安不満を表に出さない。
七尾百合子
その『琴葉さん』が、もし全て演じているようなものだとしたら……苦悩は凄まじいものだろう。
七尾百合子
誰がが、琴葉さんを解放して、自然な彼女を取り戻してあげたなら……もっと『楽しく』なる筈だ。
七尾百合子
多分、私はその役には力不足だ。キャラも違う。そんな人が現れるのを……祈りたい。

(台詞数: 29)