佐竹美奈子
私は数えるのも面倒なくらいの人類の内のひとり。
佐竹美奈子
そこらへんに腐るほどいる女の子の内のひとり。
佐竹美奈子
私なんて所詮は星の数ほどいるアイドルの内のひとりにしか過ぎない。
佐竹美奈子
私は他の子みたいにキラキラなんてしていない。
佐竹美奈子
光るものも持っていない。
佐竹美奈子
例えるなら、元から煌めく予定なんてない"凡庸"という名のスペースデブリですね…。
佐竹美奈子
なんて自己分析をして笑って見せることはいともたやすい。
佐竹美奈子
その空の笑いは一種の虚しさを生み出して…
佐竹美奈子
そこに劣等感が蓄積されているとしても…
佐竹美奈子
もうやめるんだ、神妙な面持で言うプロデューサーさん。
佐竹美奈子
心当たりはあるものの…
佐竹美奈子
私は、何のことですか?ととぼけてみせる。
佐竹美奈子
無理して笑わなくていい。
佐竹美奈子
俺は見えるんだ、美奈子が泣いているのが…
佐竹美奈子
私に初めて見せたその哀しそうな瞳と、胸が締め付けられるような言葉に…
佐竹美奈子
本当は脆くて移ろいやすい秘めたる乙女心は揺さぶられる。
佐竹美奈子
実は嬉しかった。いつもならわっほ~い!と気持ちを表現することもできるのだけれど…
佐竹美奈子
でも、今は何だかそんな軽い言葉ではダメな気がした。
佐竹美奈子
けれど、喉元から嬉しいの一言が出てこない。
佐竹美奈子
代わりに出てくるのは長い事溜め込んだか涙と嗚咽。
佐竹美奈子
やっと…
佐竹美奈子
やっと…見つけてくれたんですね…
佐竹美奈子
一人ぼっちな私の手を握ってくれる人…。
佐竹美奈子
美奈子には、美奈子の良さがあるんだ。
佐竹美奈子
だからこれからは素直でいてくれ。
佐竹美奈子
そんな優しい言葉とともに頭を撫でてくれる人。
佐竹美奈子
私はその胸の中で不器用なくらい泣きじゃくった。
佐竹美奈子
弱音もたくさん吐いた。
佐竹美奈子
もう輝けないって…何度も言った。
佐竹美奈子
大丈夫、輝けるさ。
佐竹美奈子
何の根拠もないはずなのに、自信満々に言うんですね。
佐竹美奈子
ああ、言うさ。
佐竹美奈子
何度でも美奈子に語り掛けるよ。
佐竹美奈子
だって美奈子は、俺が見つけた大切なアイドルなんだからな。
佐竹美奈子
な?と微笑むプロデューサーさん。
佐竹美奈子
子供扱いしないでください…。
佐竹美奈子
シャツを軽く引っ張りながら、赤く染まる顔を隠す様に少し埋める。
佐竹美奈子
ゆっくりでいいから、美奈子が本当に笑える二人になろうな。
佐竹美奈子
恥かし気もなくそんなとっておきの言葉を言って見せるあなたに…
佐竹美奈子
プロデューサーさんの…ばか。
佐竹美奈子
そんなありふれた言葉で応酬していた私はきっと…
佐竹美奈子
誰かの一番星になれていたんですね。
(台詞数: 42)