特製りんご炒飯セット。
BGM
”Your” HOME TOWN
脚本家
イッパイアッテサ
投稿日時
2016-03-26 15:46:58

脚本家コメント
美奈子の誕生日当日にドラマを書かなかったのと、
ひなたのドラマはあまり書いてないので、今回作ってみました。
個人的には、なぜ美奈子はアイドルになったのか、あまり見えてこないもので。
こんな解釈もいいのかな?と考えました。
……美奈子の『いい話』を捧げますから、そろそろSRを当てさせてください、ガシャの神様。

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木下ひなた
(東京さは、遅い時間になっても、本当に明るいんだねぇ……)
木下ひなた
それが、東京に出てきて最初の晩の感想だったべさ。
高木社長
『ひなたくん。東京に出てアイドルを目指さないか?』
木下ひなた
……社長さんがあたしの家に来て、アイドルさ成らないかって言ったときは信じられなかったべさ。
木下ひなた
アイドルさんってのは、都会のキラキラした娘さんが成るもんだと思ってたからねえ。
木下ひなた
家族のみんなが応援してくれたから、東京さ行くって決めたけど……初日から大変だったんだわ。
木下ひなた
……
木下ひなた
本当はね。昨日飛行機で東京に行って、そこから事務所の人とと一緒に寮へ入る筈だったけど、
木下ひなた
あたしの生まれた街では遅くまで雪が降るからねえ。飛行機さ飛ばなかったんだわ。
木下ひなた
仕方ないから、日を改めて飛んできたけど。今日は誰も迎えに行けないって。
木下ひなた
それで……ね。空港から寮までの間で、電車の乗り換えさ分からんくなってしまったべさ。
木下ひなた
都会の人さ、みんなセカセカしてるし。お巡りさんも、街の駐在さんみたいに優しい顔してないし、
木下ひなた
誰にも道さ聞けなくて。……社長さんに教えてもらった寮の最寄り駅に着いたの、夜だったわ。
木下ひなた
……
木下ひなた
(お腹、空いたなあ……)
木下ひなた
お母さんのお弁当はお昼に食べて。歩いて疲れたから、持たせてもらったおにぎりも食べちゃって。
木下ひなた
困ったなあ……寮は普通のアパートだから、ご飯は出ないって社長さん言ってたし。
木下ひなた
あ……もし寮母さんがいても、もうこんな時間から晩御飯作ってもらうわけにはいかないべさ。
木下ひなた
考えたらあたし、昨日まではこの時間にはもう寝とったくらいだわ。都会の人は夜更かしなんかな?
木下ひなた
……勘違いしないでほしいべさ。あたしだって、都会では『コンビニ』さ在るって知っとるわ。
木下ひなた
……でも、コンビニでご飯さ買う気にはなれなかったんだわ。もしあたしがお弁当買っちゃって、
木下ひなた
それで売り切れて、今日一生懸命働いた人が買えなかったら。……迷惑かけるから申し訳ないんよ。
木下ひなた
そんなこと考えながら、トボトボ歩いとったら……赤いのれんが見えたべさ。中華料理のお店の。
木下ひなた
(……あ、ここなら。)
木下ひなた
都会のおしゃれなお店では何食べたらいいか分からんけんど、中華のお店なら大丈夫だべさ。
木下ひなた
そう思って近づいていったのに……目の前で娘さんが、のれんを仕舞っちゃったんだべ。
佐竹美奈子
「……ごめんなさい、今日はもう看板で……って、キミ、独りなの?」
木下ひなた
『……ぐうっ。』
木下ひなた
言葉に詰まったあたしの代わりに、お腹のほうが返事をしてくれたべさ。
佐竹美奈子
「……とりあえず中に入って。外は寒いよ。」
木下ひなた
……あたしが席に着くより早く、中華鍋が揺すられて、青菜炒めと、レタスの炒飯が出てきたわ。
佐竹美奈子
「取り合えずコレね。……あ、食べ盛りだからコレじゃ足りない?叉焼も切ってあげようか?」
木下ひなた
「あのお姉さん。……あたしまだ、なにも注文してないべさ。値段も分からんし……」
佐竹美奈子
「うん、そうだね。……だってこれは、私の『練習』だもん。お金は要らないよ。」
佐竹美奈子
「明日は私のお店、定休だから。残った食材を使ってね。……さ、一緒に食べよっか?」
木下ひなた
……お姉さんの手際はあたしのお母さんより滑らかで、ご飯もずっと美味しかったべさ。
佐竹美奈子
「……ひなたちゃん、って言うんだ。その寮なら出前に行ってるし、あとで案内するね。」
木下ひなた
「美奈子さん、なんで見ず知らずのあたしに、そんなに優しいんだべか?都会の人なのに……」
佐竹美奈子
「都会も田舎も関係ないよ!私、誰かのために尽くすのが好きなんだ。」
佐竹美奈子
「ひなたちゃん。独りで出て来て大変なことが有ったら、なんでも言ってみて。」
木下ひなた
「……あの、美奈子さん!お願いしたいことがあるべさ!……『お礼』は、これ位しかないけど。」
木下ひなた
……美奈子さんが優しすぎるから、あたし、とんでもない『お願い』してしまったんだわ。
佐竹美奈子
「……りんご、だね。……お礼を貰いすぎかな。半分くらいで充分かな。」
木下ひなた
……鞄の中のりんご、半分こしたんだわ。……りんごを剥くのだけは、お母さんのほうが上手かな。
高木社長
……
高木社長
「アイドルとしてスカウトしたのは、ひなたくんだけだったんだがね。ええと、君は確か……」
佐竹美奈子
「はい。佐竹飯店の美奈子です。私もこれから、アイドルとして頑張ります!」
木下ひなた
……あたしと一緒に、アイドルになってください。それが昨夜の、あたしの『お願い』。
木下ひなた
「社長さん。やっぱりあたし、役に立たないかもしれんし。美奈子さんも一緒のほうがいいべさ。」
高木社長
「……『応援したくなる』、それがキミの魅力だ。……自信を持ってくれたまえ、ひなたくん。」

(台詞数: 50)