佐竹美奈子
窓にゆらゆらと舞う桜、これまでとは違う真新な教室。
佐竹美奈子
今日まで。ちゃんと着た事のなかった新しい制服に袖を通して…。
佐竹美奈子
新しい世界と、始まりの季節を目に焼き付ける様に、私は教室を見渡す。
佐竹美奈子
これから、私、どうなるんだろう?
佐竹美奈子
これから、私、どうなっちゃうんだろ?…
佐竹美奈子
今はまだ真っ白な、青春という二文字のキャンパスノート。
佐竹美奈子
未来(これから)の学園生活への淡い期待、と馴染めるかの不安。
佐竹美奈子
その二つが私の頭の中で複雑に入り混じって、落ち着かない…
佐竹美奈子
_「ふふっ…」
佐竹美奈子
真隣の机から…誰かが笑う声が聞こえる。
佐竹美奈子
その声に反応して、隣を向くと、そこには知らない笑顔があった。
佐竹美奈子
「何が可笑しいの?」
佐竹美奈子
私は負けずと、真顔でつい訊ねてしまう。
佐竹美奈子
_「大丈夫だよ、僕も一緒さ」
佐竹美奈子
私の視界に入る、貴方の震える肩。
佐竹美奈子
「ふふっ、本当だね」
佐竹美奈子
私達は見つめあって、そのまま暫く笑いあった。
佐竹美奈子
そんな貴方は、私の初めての友達。
佐竹美奈子
そよぐ春風が時を流して、若葉が生る様に、私の中で芽生えてく特別な想い。
佐竹美奈子
_"美奈子、お弁当、わざわざありがとう。でも僕の分まで本当にいいのかな?悪くない?"
佐竹美奈子
"どういたしまして、いいの、だって、いつも食堂のパンばっか食べてるの、身体に悪いよ!"
佐竹美奈子
授業時間でも、先生の目を盗んでは、紙切れを使って会話をした。
佐竹美奈子
たまに教科書越しに見つめあっては、ちょっと笑いあってみたり…。
佐竹美奈子
次第に私は、不思議と貴方の笑顔に惹かれていくのに気付いた。
佐竹美奈子
好きになってく、どうしてかな?
佐竹美奈子
貴方を知る程に強く、傍にいたいって、そう思っちゃう。
佐竹美奈子
_「どうせだから、一緒にテスト対策しよっか!?」
佐竹美奈子
貴方の一声で、始まった放課後、二人だけの勉強会。
佐竹美奈子
日直の仕事を済ませ、職員室に報告に向かった貴方を見送って、私は一人。
佐竹美奈子
貴方の机に、私の机をひとり寄せ合って、貴方の笑顔を思い出している、思い浮かべてる。
佐竹美奈子
そっか、私、恋してるんだ。
佐竹美奈子
それも、初めての片思い。
佐竹美奈子
夕焼け色に染められた窓には、あの日の様に桜が舞っている気がしました。
佐竹美奈子
それは心に舞う花びら、きっと、初恋の印。
佐竹美奈子
それに気付いた時、窓は夕焼け色から、桜色へと染まっていく。
佐竹美奈子
貴方を想えば想うほど、いつかあの日の桜の様に咲いてみたい…
佐竹美奈子
そんな想いも、今はそっと、胸にしまって…
佐竹美奈子
それが私の恋心。
佐竹美奈子
「ふふっ…」
佐竹美奈子
貴方の顔を傍で見ていたら、ふと、さっきの事を思い出して、にやけちゃう。
佐竹美奈子
_「何が可笑しいの?」
佐竹美奈子
「大丈夫だよ、なんでもない」
佐竹美奈子
すると貴方は、「そっか」って微笑んでくれた。
佐竹美奈子
私の胸はキュンッとなって、そして震えてる。
佐竹美奈子
もし、あの日の肩みたいに、私の胸の震えが貴方にも見えるのなら…
佐竹美奈子
「私と一緒…?」
佐竹美奈子
そう聞けたのにね…
佐竹美奈子
でも、いまはまだいいの。
佐竹美奈子
そんな貴方は、私の初めての友達。
佐竹美奈子
そんな貴方は、私の初めての片思い。
(台詞数: 50)