中谷育
……わたしは、わたしのおかあさんが大好きです。
中谷育
わたしのおかあさんは、せかいいちのおかあさんで、せかいいちの女の人だとおもってました。
中谷育
……でも、アイドルのお仕事をはじめてから、なんだかじしんが無くなっちゃった。たとえば……
佐竹美奈子
『みんな、お仕事お疲れ様!卵スープと炒飯を作ってるから、出来上がるまで点心食べててね!』
中谷育
美奈子さんは、すごくおいしいごはんをつくるよ。お店に食べにいくよりおいしいかも。
中谷育
それなのに、おかあさんよりごはんを作るはやさがはやいです。ながれるみたい、っていうのかな。
中谷育
おさいほうも、アイロンがけもおそうじも、すごくながれるみたいです。
中谷育
すごいのは、美奈子さんだけじゃないよ。
中谷育
ひなたちゃんは、わたしと年も背もあんまりかわらないのに、「ひとりぐらし」。
中谷育
ひとりぐらしだから、朝ごはんもつくって、おせんたくして、おかいものもしてるんだ。
中谷育
わたしの家は、お父さんもわたしもお母さんのおてつだいしてるのに、ひなたちゃんはひとり……
中谷育
……でも、わたしのおかあさんのすごいところは、「かじ」だけじゃないよ。
中谷育
おかあさんのよむご本は、すごくワクワクするから、こどものころ楽しかったんだ。
中谷育
……そう思ってたんだけど、……
天空橋朋花
『……数を数えると騙して、サメの背中をピョンピョン飛び跳ねて、白兎は向こう岸に渡りました。
天空橋朋花
……自分の企みが上手くいったことに気を緩めた白兎は、つい口を滑らせサメを馬鹿にしたんです。
天空橋朋花
……兎はどうなったのと思いますか〜
天空橋朋花
……兎はどうなったのと思いますか〜。サメ達は激怒し、兎の皮をズタズタにひん剥いたんです〜。
天空橋朋花
……いつも誠実に生きなさい。企むなら最後まで発覚しないよう振る舞えという教訓ですよ〜。』
中谷育
……朋花さんのご本よみは、ドキドキします。むずかしいことばもでてくるけど、オトナなかんじ。
中谷育
朋花さんだけじゃなくて、百合子さんや瑞希さんのご本よみも……おかあさんよりおもしろいよ。
中谷育
……わたしのおかあさんは、ぜんぜんすごくないのかな。
佐竹美奈子
「あ、育ちゃん、こんなところに居たの?寒いから中に入ろう?」
天空橋朋花
「 びっくりしましたよ〜。誰にも何も言わずに、出てってしまうなんて〜。」
佐竹美奈子
「ほら、手も冷え切ってるよ。ココアでも飲もう?パンケーキも欲しい?」
中谷育
「ふたりはなんでもできるんだね。せかいいちの女の人は、ふたりみたいな人かな?」
天空橋朋花
「あら〜、そんなに褒め称えてもらえるなんて、光栄ですね〜。」
中谷育
「わたしのおかあさんは、ぜんぜん、せかいいちじゃないのかな。」
佐竹美奈子
「……」
佐竹美奈子
「ねえ育ちゃん。私の料理やアイロン掛けは、私のお母さんから教えてもらったんだよ。」
佐竹美奈子
「でも、私は私のお母さんに、まだ追いつけてないんだ。家計に響かない食材の使い方とか。」
佐竹美奈子
「きっと、育ちゃんのお母さんの方が、私より上手に家の料理を作ってる筈だよ。」
中谷育
「そう……なのかな。」
天空橋朋花
「きっとそうですよ〜。それに、世界で一番育ちゃんが大好きで、愛してるのはお母様ですよ。」
天空橋朋花
「世界一の愛を注いでくれるのは、お母様。世界はそんな風に育ちゃんを祝福しているんです。」
天空橋朋花
「ある部分では世界一で無いかもしれませんけど……それでもお母様は、『世界一』なんです。」
中谷育
「おかあさんが『せかいいち』だって、言ってもいいのかな?」
佐竹美奈子
「もちろんだよ!育ちゃんのお母さんは世界一だし、お父さんだって世界一だよ。」
天空橋朋花
「一度は親御さんを疑い、そしてその愛を再認識する。それも、大人になるということです〜。」
中谷育
「朋花さんのお話はむずかしいけど、なんとなくわかった気がするよ!」
中谷育
……
中谷育
……わたしは、わたしのおかあさんが大好きです!
(台詞数: 42)