佐竹美奈子
……よし。あとはクッキーの焼き上がりまで待機。チョコケーキも固まるまで時間が掛かるし。
横山奈緒
はー、やっと一段落やな。チョコの湯煎を始めたら手を止められへんし、かなわんわあ。
横山奈緒
でも、美奈子がお菓子作りもできて助かったわ。今年は手作りチョコに挑戦したかったから。
佐竹美奈子
バレンタインは、みんなにカロリーを受け取ってもらえる日だから、私もテンション上がるよ!
横山奈緒
お父さんにも手作りのを贈ろうかな。アニキは遠征中やし、手作り品は日持ちしんからダメやな。
横山奈緒
まあ、お父さんの分も、プロデューサーさん向けのの試作品になるけどな。
佐竹美奈子
うん。そうだね……
横山奈緒
……
横山奈緒
なあ美奈子。ちょっと聞きづらいこと、聞いてもエエかな?
佐竹美奈子
なに奈緒ちゃん?唐突に。
横山奈緒
いやな……美奈子って中華料理だけやのうて、肉じゃがとかハンバーグも得意やんか。
横山奈緒
中華料理屋の娘が、中華作れるのは分かるわ。でも中華以外の料理とか、お菓子まで作れるのは……
横山奈緒
もしかしたら、今まで、付き合った男のために料理作ってきて、レパートリー増えたんかなって。
佐竹美奈子
……
佐竹美奈子
……うん。男の人のために料理してきたよ。
佐竹美奈子
……お父さんや弟のため、だけどね。お店が休みの日に、少しでも楽してもらうためとか……
佐竹美奈子
弟も、毎日中華みたいなご飯ばっかりは嫌だって言ったこともあったっけ。反抗期だったんだね。
横山奈緒
そか。そういうことか……
佐竹美奈子
……ねえ奈緒ちゃん?なんでそんなことを聞いたの?
横山奈緒
……いやな。美奈子、プロデューサーさんに色々モーション掛けとるやん。食事とか家事とか。
横山奈緒
……それって、恋愛感情やのうて、一人暮らしの男の人の世話を焼きたい、奉仕の心やないんか?
佐竹美奈子
……そんなの、自分でも分からないよ。私、今まで恋なんてしたことないもん。
佐竹美奈子
ただ、プロデューサーと一緒にいたい、支えたいなって思ってるだけだから……
横山奈緒
……いや、変なこと言い出した私がアカンかったわ。……別にライバルを蹴落としたいわけやない。
佐竹美奈子
……
佐竹美奈子
……でも、それを言うなら奈緒ちゃんもどうなの?
横山奈緒
へ?私が何やて?
佐竹美奈子
奈緒ちゃん、プロデューサーさんと出掛けたい、一日中部屋でゴロゴロしたいとか言ってるけど……
佐竹美奈子
それだって、彼氏とって言うより、お兄さんとか家族を求めてるんじゃないかな。
横山奈緒
……
横山奈緒
……否定はできへんな。私、子供の頃はアニキと遊んどったし。出てった時は散々泣いたからな……
横山奈緒
でも、私がプロデューサーさんと居たいって気持ちは本物やで。彼氏なんか家族なんかはともかく。
佐竹美奈子
……私こそ、変なこと言い出してゴメンね。
横山奈緒
エエってエエって。今日はお互い様やし。美奈子にお菓子作り教えてもらった恩が有るんやし。
佐竹美奈子
そうだね。じゃあ二週間後のバレンタインも、正々堂々恨みっこ無しでアタックしにいこう!
佐竹美奈子
……あ、でもさすがに『本番用』のを作る時は、今日みたいに手助けはしないよ。
横山奈緒
……それもそうやな。美奈子にとっては自分のお菓子をアピールする日なんやし。
横山奈緒
まあエエわ!最後に笑うのが私になればええんやから。考えすぎるのは私らしくないからな!
佐竹美奈子
最後に笑う役は、私だって譲るつもりはないよ!都合のいい女では終わらないからね!
(台詞数: 39)