佐竹美奈子
青椒肉絲お待ちー!さあ、冷めないうちにどうぞ!
横山奈緒
……タケノコかぁ……
佐竹美奈子
どうしたの、奈緒ちゃん?苦手だった?
横山奈緒
いやな、タケノコにちょっとしたトラウマがあって……
佐竹美奈子
トラウマ?
横山奈緒
私、お母さんの実家が滋賀県の田舎の方にあってな
横山奈緒
実家に帰ると、よく兄貴とタケノコ掘りをさせられたんや
横山奈緒
朝早く起こされるのはきつかったで~……
佐竹美奈子
朝早くじゃないとダメなんだ
横山奈緒
せやで?なんせタケノコは一日でぐんぐん伸びてまうから、昼過ぎにはもう食べられなくなるねん
横山奈緒
ある日、いつものように兄貴とタケノコ掘りに行った時
横山奈緒
偶然にも大物を発見して、めっちゃハイテンションでタケノコを掘っとったんよ
横山奈緒
そしたら、兄貴が突然「奈緒ー!!上を見ろー!!」って叫ぶから
横山奈緒
上を向いたら……
佐竹美奈子
上を向いたら?
横山奈緒
サラリーマンのおっちゃんが首吊ってたんや……
佐竹美奈子
く、首吊り……!?
横山奈緒
私はもう泣きながら家に駆け込んで……お母さんたちに話そうと思たけど、話せんかったわ……
佐竹美奈子
そんなショッキングなものを見たら、そうなっちゃうよ……
横山奈緒
兄貴が警察に通報して、現場の状況やらなにやら話してくれた
佐竹美奈子
頼りになるお兄さんだね
横山奈緒
普段はただのヘタレやけどな、その時はホンマに助かったわ
横山奈緒
で、警察の人が言うには、おっちゃんは自殺やなく、事故死だったんやて
佐竹美奈子
事故?
横山奈緒
おっちゃん、酒に酔うとったみたいで、竹やぶで寝てもうたんやて
横山奈緒
そこにタケノコが生えてきて、おっちゃんのネクタイに引っ掛かったんや
横山奈緒
そのタケノコが順調に成長して、おっちゃんを吊り上げたんやて……
佐竹美奈子
ひいっ……!!
横山奈緒
私、その現場に居合わせてから、タケノコを見ると、そのことを思い出すねん……
佐竹美奈子
そうだったんだ……
佐竹美奈子
(怖かった……でも、それよりも……)
佐竹美奈子
(そんな話をしながら、平然と青椒肉絲を食べている奈緒ちゃんの方が怖い……)
(台詞数: 32)