横山奈緒
…私と美奈子は帰路についていた
横山奈緒
お月様が私らの事を照らしている、進むべき道を示すように
横山奈緒
百合子はやっぱ気付いてたんやな…美奈子の事、たぶん私の事も…
横山奈緒
美奈子が陽気に調子の狂うような鼻歌を口ずさんでいる
横山奈緒
美奈子は自分の気持ちに素直になって両親と話す事を決めたのに…私は…
横山奈緒
私も、せめて美奈子だけには話さなくちゃ…
横山奈緒
なぁ、美奈子
佐竹美奈子
どうしたの、奈緒ちゃん?
横山奈緒
私もな、話さなくちゃいけないことがあんねんけど…
佐竹美奈子
なに…急にどうしたの?…奈緒ちゃんらしくない…
横山奈緒
実はな…顧問の沼倉先生に、大会で結果を残すことができたら、先生の母校を特技入試で
横山奈緒
受けてみないかって、声を掛けられてて…
佐竹美奈子
それってすごいことだよ!先生の母校は有名なところだし!みんなにも言わなくちゃ!
横山奈緒
みんなには黙っててくれへん?
佐竹美奈子
どうして?
横山奈緒
皆には、変なプレッシャーかけたないし、それに私だけ声を掛けられて…
横山奈緒
皆で頑張ってきたのに、私だけ裏切り者みたいやん…
佐竹美奈子
…
横山奈緒
…沈黙が続く、静寂の中で聞こえるのは波の音と、車の走る音だけで
横山奈緒
…そっか…やっぱ私は…
佐竹美奈子
うわあああああああああああ!
横山奈緒
…美奈子が海に向かって走り出す
横山奈緒
ちょ…美奈子!
佐竹美奈子
ねぇ、奈緒ちゃん、誰も奈緒ちゃんのことを裏切り者なんて思ったりしないよ!
佐竹美奈子
寧ろ、みんなは応援してくれると思うな!
横山奈緒
美奈子……でも私はやっぱり黙っておきたい!
佐竹美奈子
どうして?
横山奈緒
みんなの為の大会なのに、私のしょうもない私情を挟みたない!
横山奈緒
皆と最後のステージだからこそ、私らが今まで積み上げてきた全てを、皆と出し切りたい!
佐竹美奈子
奈緒ちゃん…そっか、ならわかった、みんなには言わない!
横山奈緒
美奈子、サンキュっ!
佐竹美奈子
大会、一緒に頑張ろっ!!♪
横山奈緒
うん!頑張ろな!せやから明日も朝からガンガン練習すんで!
佐竹美奈子
わかってるけど…遅刻はしないでね♪
横山奈緒
そ…それは悪かったって(汗)
佐竹美奈子
冗談だよ♪
横山奈緒
それもわかってるわ!
横山奈緒
二人「アハハハハハハハ」
佐竹美奈子
私もね、自分の気持ちを話す事は決めたけど、大会が終わるまでは黙っておこうと思うの
横山奈緒
そうなん?
佐竹美奈子
うん、私も今目の前にある、皆とのステージに集中したいから
佐竹美奈子
それに、その間に親に話す事も整理できるかなって思って
横山奈緒
そっか
横山奈緒
…私らは夜空を見上げて、何も語らず、黙って星を眺めていた
横山奈緒
そろそろいこか
佐竹美奈子
そうだね
横山奈緒
…私らは帰路に戻った、お月様は相変わらず私たちを優しく照らし続けている
横山奈緒
私は今、何も考えずに前だけをみんなと向いていたい
横山奈緒
みんなと一緒に輝いたステージに立って、最高の気分を味わいたい
横山奈緒
それだけが私の望み
(台詞数: 50)