七尾百合子
~ドウシテミナコセンパイハズットナイテイルンデスカ?~
佐竹美奈子
…百合子ちゃんの言葉が私の頭の中を駆け巡って鳥肌が立つ
佐竹美奈子
百合子ちゃんの瞳には私は泣いて映っているの?
佐竹美奈子
私、泣いてなんかいないよ!
佐竹美奈子
…自分に言い聞かすように私は口に出した言葉を何度も
佐竹美奈子
百合子ちゃんの言葉を消すように頭の中で言い聞かす
佐竹美奈子
気丈に振る舞おうとしていたこの時の私の声は少し震えていただろう
佐竹美奈子
それは私自身もわかっていたし、百合子ちゃんにもわかっていただろう
佐竹美奈子
拳に少し力が入る、泣かないように、自分の本当の気持ちを押し殺す為に
佐竹美奈子
泣いてなんかないよ!ほら、今だって私…
七尾百合子
違います!
佐竹美奈子
…私が偽物の笑顔を一生懸命保って振り絞ろうとした言葉を百合子ちゃんが遮る
七尾百合子
美奈子先輩は泣いていますよ!それが目に見える涙ではないとしても
七尾百合子
見えない涙をずっと、先輩は流し続けていますよ
七尾百合子
私にはわかるんです!…それに奈緒先輩も絶対気付いてるはずです!
七尾百合子
美奈子先輩は自分自身の気持ちに嘘をついているんじゃないですか?
佐竹美奈子
…妹のように可愛がってきた年下の女の子に、核心を突かれた…そんな気がした
佐竹美奈子
そ…それは
佐竹美奈子
…私は反論する言葉が浮かばず、何も言い返せなかった
佐竹美奈子
心のどこかで自分自身が図星だと納得してしまっているからなのだろうか…わからない
佐竹美奈子
適者生存という言葉がある、生物は環境に最も適したものが生き残るという言葉だ
佐竹美奈子
この言葉を拡大解釈して借りるのならば、私は親に突きつけられた現実(環境)に…
佐竹美奈子
一生懸命適応しようと、嘘で身を固めていたのである
佐竹美奈子
しかしそれに偏り過ぎた私はもう一つのもっとも欠けてはいけないピースを見失っていた
佐竹美奈子
それは自分自身という唯一無二の存在、自分自身の本当の気持ちである
佐竹美奈子
親の思いも、私の思いのどちらも、『今』という現状から言わせれば、それは『現実』なのだから
佐竹美奈子
誰にも聞こえないように心の奥で叫んでいた私自身の気持ちを見透かしていた二人は
佐竹美奈子
そんな私を本来あるべき姿に戻そうとしてくれていたのかもしれない
七尾百合子
美奈子ちゃん…
佐竹美奈子
…百合子ちゃんの呼ぶ声にふと我に返ると、百合子ちゃんは優しく微笑んでくれた
七尾百合子
未来って言う言葉があるじゃないですか
佐竹美奈子
うん?
七尾百合子
あなたの知らない『未知』の世界がやがてやって『来る』って書いて未来って読むと思うんです
七尾百合子
わからないからこそ、未来を夢見たり、思い描いたりして、ドキドキすると思うんです
七尾百合子
ようするに未来には私達にはわからない、たくさんの可能性、道、夢が詰まってると思うんです
七尾百合子
だから、親に言われたからって輝かしい未来を、気持ちを押し殺してまで潰さないでください!
七尾百合子
未来ってそんな悲しいモノじゃないって思いたいんです
佐竹美奈子
百合子ちゃん…
佐竹美奈子
…私は今きっと涙を流している、それは二人にだけ見えるものではなくて、本物の涙
佐竹美奈子
百合子ちゃんの言葉に私自身の心が揺さぶられ、涙が形となって溢れ出す
七尾百合子
私は美奈子ちゃんの見せてくれる本物の笑顔が大好きです
七尾百合子
まだまだ美奈子ちゃんは先が長いんですから、偽物じゃなくて、本物の笑顔でいてください
佐竹美奈子
百合子ちゃん…ありがとう…うわぁあああん
佐竹美奈子
…私は百合子ちゃんの胸を借りて大声で泣いてしまった、いままで溜め込んでいたのだろう
横山奈緒
美奈子、どしたん、大丈夫?
佐竹美奈子
…恐らく途中から病室の外で聞いていたであろう奈緒ちゃんが空気を読んで駆け付ける
佐竹美奈子
私…大学行きたい!…ちゃんとお父さんとお母さんに話す!…グス…うわぁあああん
佐竹美奈子
…私は両親と話し合いのを決めた
七尾百合子
~まだまだ美奈子先輩は先が長いんですから~
佐竹美奈子
はじめは気にならなかった言葉の意味を私はまだ知らなかった…
(台詞数: 50)