エミリー
はぁー。そろそろ風が秋の涼しさを届けてくれるようですね。
エミリー
いささかはしたないですが、こういう日は、よろず屋さんで温かいお茶をいただくのが楽しみです。
佐竹美奈子
あ、エミリーちゃん!トリックオアトリート、なんちゃって。
エミリー
美奈子さん。どうされたんですか、そのお召し物は?
佐竹美奈子
あれ、知らなかったっけ?うちのお店、この近くなんだよ。
佐竹美奈子
秋の新メニューの宣伝のために、プロデューサーさんに無理言っちゃって衣装を借りたんだ。
佐竹美奈子
そうだ、お茶が飲みたいなら、今からうちにおいでよ。新作スイーツも有るんだよ。
エミリー
そう……ですね。はい……よろしくお願いします。
佐竹美奈子
……ところでエミリーちゃん。さっき「よろず屋さん」に行くって呟いてたみたいだけど……
佐竹美奈子
そんな古めかしいお店、この辺りにあったかなあ……エミリーちゃんは小物探しに通ってるとか?
エミリー
いえ、律子さんが「名誉店長」を務めているような、お弁当やお菓子を扱っている所ですよ。
佐竹美奈子
(あ、コンビニのことなのね。)
エミリー
美奈子さん、その殭屍の出で立ち、愛らしくて素敵ですね。
佐竹美奈子
うん。自分でも気に入ってるんだ。
佐竹美奈子
うん。自分でも気に入ってるんだ。……でもハロウィンなら、エミリーちゃんはやってきたんじゃ。
エミリー
ええ。或る年は「番町皿屋敷」のお岩さんを演じたのですが……
エミリー
「Oh!ジャパニーズキモノ!」と感嘆されるばかりで、驚いていただけませんでした。
佐竹美奈子
うーん。ちょっとガッカリしちゃうかも。
エミリー
翌年は、飴買い幽霊に扮したのですが、前年と同じ反応でした。
エミリー
お菓子と「飴」を掛けたのですが……私の日本文化への愛情が足りず、成果が上がりませんでした。
佐竹美奈子
イギリスの人で、エミリーちゃんみたいに日本の怪談を知っている人は少ないよね、きっと……
佐竹美奈子
そういえば、中華料理の「肉まん」も、ちょっとホラーな話があってね……
エミリー
な、なんですか美奈子さん。いきなり……
佐竹美奈子
昔の中国では、よく氾濫する河があってね……
佐竹美奈子
……それを治めるためには、こと有るごとに生贄の生首を捧げないといけなかったんだ……
エミリー
……
佐竹美奈子
それを聞いた、三国時代の諸葛亮孔明が、人間の頭と同じ大きさの肉入り饅頭を儀式に使い始めて、
佐竹美奈子
それが現在の、肉まんやお饅頭のルーツになったんだって。
エミリー
……お話の最初の部分だけしか怖くありませんでした。カラッとした美奈子さんらしいですが。
エミリー
でも、お饅頭は日本の甘味の代表格ですね。お茶受けの定番ですし。
エミリー
紅白饅頭、葬儀の際のお饅頭など……日常でも特別な日にも欠かせません
佐竹美奈子
そういえばエミリーちゃん、いつかの温泉旅行でもお饅頭食べ歩いてたね。
エミリー
もう……あれは、はしたなかったと反省しているんですよ。
佐竹美奈子
いいのいいの!そんなエミリーちゃんだから、新作スイーツの試食に招待したかったんだ!
エミリー
お邪魔します。素敵なお店ですね。
佐竹美奈子
はい、これが新作スイーツです!
エミリー
……この蒸篭いっぱいの大きさの、肉まんですか?
佐竹美奈子
うん。さっきの孔明さんのお話にあやかって、人間の頭サイズで作ってるんだよ!
佐竹美奈子
中身は、一段目が定番の肉まん。二段目は中華あん。三段目はエビチリ。
佐竹美奈子
最後は、ハロウィンに合わせてカボチャあんだよ!さあ、全部食べて感想をどうぞ!
エミリー
……「怖い話」は、まだ終わってなかったみたいです。そんな予感は有ったんですが……
(台詞数: 41)