所恵美
……。
所恵美
みんなの動揺は、アタシの予想以上だった。
所恵美
いや、全員が事務所にいるわけじゃないからみんなじゃないけど、それでも。
所恵美
美也なんかは特に顕著だった。机の上には折りかけの折り紙が散乱してるし…。
所恵美
これは、本当にどうにかして早く戻らないとヤバい。そう思っていると。
大神環
「……?」
所恵美
美也を仮眠室に連れて行った帰りの環と目が合った。いや、向こうはアタシは見えないはずだけど。
大神環
「……」
大神環
「……めぐみ?」
所恵美
!?
大神環
「めぐみが、ちゅうに…ういてる?」
所恵美
え!?なんかアタシの事めっちゃ見えてるみたいなんだけど!!
所恵美
いや、待って。そういえばゴーストパークの時に幽霊見えてたみたいなこと言ってたよね!?
所恵美
…マジ?
望月杏奈
「どうしたの、環ちゃん…?」
所恵美
アタシが動揺して、なんか綿渡していると、ゲームから顔を上げた杏奈が環に話しかけた。
大神環
「あ、あんな!えっとね、透けてるめぐみがそこにいるんだけど…」
所恵美
す、透け…?シースルー的な物かと思ったけど、多分霊体だから透けてるんだろうね、アタシ。
所恵美
環がアタシの方を指さす。杏奈は、訝しそうにアタシの方を見てる。
望月杏奈
「……」
望月杏奈
「……」【ゴシゴシ】
所恵美
目がかゆいのか、強めに目をこする杏奈。
望月杏奈
「……」
望月杏奈
「……んっ」【ピチョン…】
所恵美
目が疲れたのか、目薬を差す杏奈。
望月杏奈
「……」
望月杏奈
「……ふぇ」【ブワッ】
所恵美
な、泣いた!?思わず近づいて、杏奈を撫でてあげようとして…。
望月杏奈
「っ…!?」
所恵美
手が、杏奈の頭をすり抜けた。一部始終を見ていた環が、杏奈にとって決定的な一言を言う。
大神環
「めぐみ…幽霊になっちゃったの?」
望月杏奈
「めぐみさん、やっぱり見間違いじゃ…ふえぇぇん……」
大神環
「うわあああああああん!!」
所恵美
杏奈が泣き出して、つられて環も泣きだして。たぶんアタシが声をかけても逆効果だろう。
所恵美
大体5分くらい、二人はひたすら泣き続けていた。
所恵美
――――――――――。
望月杏奈
「…何それ。まるでゲームか漫画みたい、だね」
所恵美
二人がたっぷり泣いた5分後、ようやく落ち着いた二人に、アタシは現状の説明をした。
所恵美
ゲームとかに慣れてるせいか、アタシの状態を杏奈はあっさりと理解してくれた。
大神環
「えっと…めぐみは生きてるけど死んでなくって…?」
所恵美
対する環はこんな感じ。『ヒーローみたいに復活するから』って言ったら納得はしてくれた。
望月杏奈
「…それで、何かきっかけはつかめそう?」
所恵美
いやー、いろんな所を見れば見るほど『皆のために元気にならなきゃ』って思っちゃって…。
大神環
「探し物?くふふっ、たまき、宝探しは得意だからたまきも手伝ってあげるぞ!!」
所恵美
環は満面の笑みで言う。さすがに、この案件は自分で見つけないといけないんだけど…。
所恵美
…そうだね。アタシが元気になったら、一緒に宝探しして遊ぼっか。
大神環
「やったー!!指切り…はできないけど約束だぞ、めぐみ!!」
所恵美
指は絡められないけど、なんとなくそれっぽく動かす。
所恵美
にゃははっ。こりゃ、ちゃっちゃと元気にならないといけないね♪
(台詞数: 49)