所恵美
聞いてない聞いてない!
高山紗代子
いやいや、恐れ入ったよ。一本あげてもいいと認めよう。
所恵美
楽な仕事って言うから引き受けたのに!
七尾百合子
余裕ぶってる場合じゃありませんよ!このままじゃ逃げられちゃいますよ!
高山紗代子
何を言うんだい。もうチェックメイトは近いよ。
七尾百合子
ええっ!思いっきり奪われて逃げられてるのに!
高山紗代子
追い詰めているのさ。
所恵美
なんなのさ、あいつ!
所恵美
こっちにも追手!?仕方ない、こっちに逃げ込むしか……!!
七尾百合子
見失った!?
高山紗代子
あれに雇われただけのことはあるね。さすがの身のこなしだ。
七尾百合子
部長が走るの遅いんですよ!
高山紗代子
それもわざとさ、彼女はきっとここに入ったよ。
七尾百合子
……昼間のお化け屋敷……?何でわざわざこんなところに……
高山紗代子
昼間。君が言ってただろう?ここはスタッフの抜け道が多いって。
七尾百合子
そうか!隠れ込んで、逃げ出すには都合が良い場所……!
所恵美
……大丈夫、この迷路も道は覚えてる。あそこから抜ければ、行ける!
高山紗代子
やあトリックスター。まだそこにいるかい?
所恵美
……!声、何処から?
高山紗代子
ここには昼に下見に入ってね。よく声が反響する事は実証済みさ。
七尾百合子
部長めっちゃ叫んでましたもんね。
所恵美
……これじゃ何処から声がしてるのか分からない……なるほどね。
所恵美
でも、この入り組んだ迷路は私の方が詳しい。冷静に行けば……
高山紗代子
ああ、心配には及ばないよ。下見に入った時にここの道は覚えたからね。
七尾百合子
めっちゃ迷いましたもんね。
高山紗代子
というわけで百合子くん。私が案内するから進んでくれたまえ。まずはここの道を。
七尾百合子
え、私なんだ。はいはい。
所恵美
……ハッタリ?……いや、これ以上相手を侮るのはまずい。道を変えるか……
七尾百合子
部長ー!分かれ道がー!
高山紗代子
真ん中だ。そして次は左、左、右の順だ。
七尾百合子
はーい!
所恵美
もしかして、本当にこの道を覚えてる!?私の位置も!?
高山紗代子
さてトリックスター、まさか私が目の前でしてやられるとは思わなかった。賞賛するよ。
高山紗代子
君はあれに雇われた他とは違う器を持っている。もしあの時君があれの言う通りにしていたら。
高山紗代子
すぐに、捕まえられただろうからね。あの機転は恐れ入った。
高山紗代子
まさか私が、主義に合わない追いかけっこをすることになるとは。
所恵美
もう少し、あともう少しで出口が!
七尾百合子
部長ー!その次はー?
高山紗代子
そうだね。左の道を進めば、行き止まりだ。そこで彼女と落ち合えるだろう。
所恵美
……!まさか!もうそこまで!
七尾百合子
着いたー!
所恵美
!!
七尾百合子
あれ?部長!あの人居ませんよ!
高山紗代子
……
七尾百合子
まさか間違えたんですか!?道!?
所恵美
……来ない?やっぱりハッタリだった?
所恵美
よし!ここを曲がれば出口!危なかったけど、今回もやっぱり私の勝ち……っと!
所恵美
!!!
高山紗代子
そして私がここにいた。
高山紗代子
チェックメイトだ。トリックスター。
(台詞数: 50)