女子、二人並び立てば 第6話『微笑』
BGM
Starry Melody
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-11-09 23:27:14

脚本家コメント
出来次第の更新です。

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ジュリア
へえ…受けて立つのか。ツッパってきたな、モモ。
ジュリア
こっちがフェスを選ぶのは当然としても、モモは気が強い部分とクレバーな部分が両方あるからな。
ジュリア
どっちを取るかは半々だと思っていたけど、強気な方が出てきてくれたか。
ジュリア
いいね…最高だよ!やっぱりバトルってのは、そうじゃなくちゃな!
ジュリア
ヒートアップする観客の歓声にビリビリと共振するギターを、そっと手で撫でた。
ジュリア
何度も弾いて、何度も手入れして、今ではあたしの体の一部のようになった、愛用の相棒。
ジュリア
第三回の時は、ルールの関係で使わせてもらえなかったやつだ。
ジュリア
…相棒がこの手に無かったからレイに負けたんだって、そんなダサいことは言わないさ。
ジュリア
だけど、これだけは言ってやる。今のあたしは、間違いなく100%だって。
ジュリア
誰が相手だって、負ける気はまったくしないね。
ジュリア
当然、モモにだってな。
ジュリア
隣のステージから、強い目でこちらを見るモモに、こっちも目線で語りかけた。
ジュリア
…なあ、モモ。おまえは、本当に凄いヤツだよ。
ジュリア
11歳の頃のあたしは、今のモモの半分だって歌えやしなかった。
ジュリア
きっと、血を吐くような努力をずっと続けてきたんだろうな。
ジュリア
あたしが、ギターがまだ下手くそだった頃、手がボロボロになるまで練習したときのように。
ジュリア
もしかすると、それ以上。あたしが想像できないくらいに。
ジュリア
…でも、ここまでだ。
ジュリア
油断も手抜きもするもんか。モモをリスペクトする意味も込めて、全力でいかせてもらうよ。
ジュリア
モモ。おまえが一生懸命だったのは知ってる。ヒメとやりたがってたのも、な。
ジュリア
だから、せめてモモの全力は、あたしが受け止めてやるよ。
ジュリア
悪いな、モモ。勝つのは、あたしだ!
周防桃子
……。
如月千早
「それでは、続けてどのように勝敗を決めるのか…そのルールを説明させていただきます。」
周防桃子
ステージの上では、司会の千早さんによるルール説明が続いている。
如月千早
「まず…このトーナメントで勝敗を決めるのは、ファンの皆さん全員です。」
周防桃子
ファンからは、どういうことだろうって、ざわめきが起こる。
如月千早
「入場の際に、入場券と引き換えにお渡しした、専用のサイリウムをお持ちでしょうか?」
周防桃子
千早さんがそう呼びかけると、観客席で、カラフルな色の光がピカピカとまたたいた。
如月千早
「このドームの各所には、サイリウムの数をカウントするセンサーカメラが設置されています。」
如月千早
「皆さん。サイリウムの色を、自分が支持するアイドルのイメージカラーに変えてください。」
如月千早
「フェスなら、二人の歌が終わったその時点で、自分のカラーが多かった方が勝ちとなります。」
如月千早
「そして、ライブバトルなら、両方の出番が終わった後、サイリウムによる投票を行います。」
周防桃子
…まったく。今までのケチっぷりがうそのようにお金をつぎ込んでるよね、社長さんは。
周防桃子
まあ、そのおかげで桃子も助かったから、文句は言えないけどね。
如月千早
「…それでは、ルール説明も終わりましたので、フェスで歌う曲を発表してもらいましょう!」
周防桃子
千早さんのその言葉に、ジュリアさんは。
周防桃子
人差し指を口に当てて、会場が静かになるのを待って。
ジュリア
「…『プラリネ』。」
周防桃子
ささやくように。でも、たしかな力を感じさせる声で、宣言した。
周防桃子
『プラリネ』か。ジュリアさん、本気だね。
周防桃子
その顔には、桃子を正面からひねりつぶしてやるっていう、闘志にあふれた笑みを浮かべている。
周防桃子
それを正面から見返して…桃子は、くすっと笑った。
周防桃子
ありがとう。桃子に全力を出してくれて。
周防桃子
ありがとう。桃子の予想通りのジュリアさんでいてくれて。
周防桃子
…油断はしなかったかもしれないけど、桃子のこと、甘く見たね?
周防桃子
たったの100%で、桃子をどうにかできると思っているなんて、ね。
周防桃子
桃子は、決められていた合図通りに、右手を高々と上げた。
周防桃子
すると、桃子のステージを、とつぜんふき出したスモークが包んで、かくしてしまう。
周防桃子
そして、スモークが晴れたそのとき…そこには、桃子が用意した『仕掛け』が、姿を現していた。

(台詞数: 50)