所恵美
「青い空の下で、海のせせらぎを聞きながら大切な人と歩く、か…」
所恵美
そんなアタシの言葉に少し鼻の下を伸ばして、顔を赤くするプロデューサー。
所恵美
「ふふっ…なんか照れちゃうね」
所恵美
きっと、アタシの顔も同じだ。
所恵美
なるべくプロデューサーに表情を見られないように、思い切って少し駆け足で前に出てみる。
所恵美
「アタシ、ちゃんと可愛い花嫁さんに見えてる?」
所恵美
振り向き様にそう問いかけるアタシに、答は返ってこない。
所恵美
勿論、可愛いって言ってほしいに決まってる。
所恵美
けれど、欲しい返事の代わりに待っていたのは…
所恵美
少し困った様な表情を浮かべるプロデューサーだった。
所恵美
どうせならちゃんと答えが欲しい。
所恵美
そんなもどかしさに、最近いつもジリジリさせられる。
所恵美
胸がチクチクと痛む。
所恵美
でも、仕方のないことだと思う。
所恵美
アタシはアイドルで、プロデューサーはプロデューサーだから…
所恵美
2人の関係っていうのは…
所恵美
それ以上でも、それ以下でもないから割り切らなくちゃいけない。
所恵美
けれど、それがアタシを余計に寂しくさせて、切なくさせる。
所恵美
夢でもいいから、幻でもいいから…
所恵美
アタシにアイドルっていう夢を見させてくれるみたいに…
所恵美
アタシのことを好きって言って欲しい。
所恵美
アタシのことを可愛いって言って欲しい。
所恵美
だって、アタシは誰よりもプロデューサーが好きみたいだから…
所恵美
こんな禁断の恋、叶えられるはずないってわかってる。
所恵美
もしアタシ達が映画のような2人なら…
所恵美
もしこの恋がゲームのようなストーリーなら…
所恵美
きっと結ばれる運命なんだけどな…
所恵美
これは現実だ。
所恵美
だからこんな切ない恋…
所恵美
実るはずないんだ…
所恵美
「ごめんごめんっ、いまのナシ!!」
所恵美
「忘れて?ほんとごめんね?」
所恵美
「ほんっとなんでもないから、ごめんってば!!」
所恵美
余計な事を言わないように紡ぐ言葉は全て空回り。
所恵美
素直に伝える事なんてできるはずがない。
所恵美
だって、想えば想うほど恋しくて…
所恵美
想えば想うほど苦しいから…
所恵美
タッタッタッタ…
所恵美
波打ち際まで駆けるアタシをプロデューサーは追ってこない…。
所恵美
その様子をただただ見守っているだけだ…。
所恵美
まるでステージに立っているアタシを見るかのように…
所恵美
純粋な瞳で見つめているだけだったから…
所恵美
「青い空に青い海…こんな場所で結婚式ができたら一生の思い出になりそうだよね」
所恵美
そう言って微笑んだアタシはきっと、泣いていただろう。
(台詞数: 44)