所恵美
やっはろー。
所恵美
偶然だね、こんな所で合うなんて。
所恵美
匿名で手紙が来てた?
所恵美
あちゃー、ラブレターかな? 羨ましいねー。
所恵美
アタシ? アタシは桜が咲くのを待ってるんだよ。
所恵美
本当はもう咲いてる筈なんだけどねー。寝過ごしたから少し待ってて、だってさ。
所恵美
カレンダーではとっくに春なのに、まったく……陽気なもんだよ。
所恵美
……。
所恵美
君、暇? 時間があるならお話したいな。
所恵美
実は前から言いたい事があったんだよねー。
所恵美
少し前に君がここへ越してきた時さ、アタシに言った事を覚えてる?
所恵美
ここを「淋しい所だな」って言ったんだよ。
所恵美
アタシさ、その時「あー、わかってないなぁ」って思ったね。
所恵美
上手く言えないけど……多分、こういうのは普段淋しいからいいんだよ。
所恵美
いつも綺麗だったら、それが当たり前の風景になっちゃうでしょ?
所恵美
それに、君は見た事なかったよね?
所恵美
ここは桜が綺麗なんだ。
所恵美
ずっとさ、春になったらびっくりさせようと思ってた。
所恵美
あの時の言葉を盛大に手のひら返して、ごめんなさいする様を笑ってやりたかったんだ。
所恵美
そしたら、またすぐに転校するなんて言い始めるんだもん。
所恵美
いやー焦ったね。このまま勝ち逃げされたら堪らないよ。
所恵美
だから、手紙書くことにしたんだ。
所恵美
誰にって……秘密。
所恵美
毎日毎日、足りない頭使って必死に文章考えたもんだよ。
所恵美
あれは間違いなく冬休みの宿題より頑張ったね、うん。
所恵美
ま、その甲斐あってようやくここまで辿り着けたからいいんだけど。
所恵美
てな訳で、ここまでがアタシの話。
所恵美
もうすぐ桜が咲くからさ。君も見て行きなよ。
所恵美
綺麗だよ。きっと気に入ってくれる。
所恵美
……うん、きっと。
所恵美
じゃあ……目、瞑って。
所恵美
私……じゃなかった、桜だって咲く時は恥ずかしいんだよ、多分ね。
所恵美
いい?
所恵美
いーち、
所恵美
にー、
所恵美
さー……
所恵美
んっ。
所恵美
にゃはは〜、もういいよ。
所恵美
どう? 綺麗でしょ?
所恵美
この景色……向こうに行ってもずっと忘れないで欲しいな。
所恵美
また絶対に帰ってきなよ。
所恵美
ずっと待ってるから。アタシも、この子たちも。
所恵美
ん? さっきの……?
所恵美
……。
所恵美
忘れない為のおまじない、かな。
(台詞数: 45)