所恵美
...寂しい部屋の中にお香の匂いが広がる
所恵美
...アタシは線香をあげに大神家に来ていた
所恵美
...少女に父のことを伝えなくてはいけないという気持ちで
所恵美
...アタシは少女の親戚に「故人の知り合いで生前親しくしてもらっていた」
所恵美
...「なので線香を一本供えさせてくれませんか」と告げるとすぐにあげてもらえた
所恵美
トントン・・・
所恵美
...後方から肩を叩かれる、振り向くとそこには少女がいた
大神環
・・・
所恵美
...何かを聞きたそうにアタシのことを見つめている
所恵美
大神環ちゃんだよね?
大神環
うん、お姉ちゃんは?
所恵美
アタシは所恵美
大神環
よろしく、めぐみ・・・くふふ!!
大神環
めぐみはお父さんの知り合い?
所恵美
うん、そうだよ、ボランティアで何度か喋ったことがあってさ
所恵美
環はさ、お父さんのこと好き?
大神環
う~ん・・・どうなのかな~・・・
所恵美
...少女は悩みだす、これもアタシのしてしまったことの一つだ
大神環
ん~
大神環
たまきはどっちかわかんない
大神環
だって周りの人はお父さんのこと悪い人だって言うし・・・
大神環
たまきの事をひとりにしてろくでもない父親だって悪口言う人ばっかだから・・・
大神環
それに会いにいってもたまきのこと腫れ物扱いしてすぐに追い返すし!
所恵美
・・・
大神環
でもね一度だけちゃんと帰ってくるって約束してくれたことがあるんだ!
大神環
だからたまき、信じてずっと待ってたんだ!
大神環
昔みたいに、優しくて、かっこいいお父さんが帰ってきてくれるの
大神環
でもこんなことになっちゃったし・・・だからよくわかんない
大神環
でもね、ちゃんとたまきのところには帰ってきてくれたから
大神環
だからさみしいけど・・・うれしいよ!!!
所恵美
...環の純粋な笑顔には少し陰りがみえて、胸が痛くなる
所恵美
あのさ・・・環のお父さんからアタシ、環のことはたくさん聞いたんだ
所恵美
いっつも環の話しをするから、親バカってああいう人の事を言うんだなって思ってたよ
大神環
うん?
所恵美
環のこと、本当に愛してて、この世で一番大切な娘なんだっていつも言ってた
大神環
ほんと?
所恵美
うん、本当だよ、でも、環の前だと照れて言えないんだって
所恵美
一度、たまきがず~っと楽しみにとっておいたプリンが無くなった事あるんだってね
所恵美
あれね、本当はそれを知らずにお父さんが食べちゃったんだって
所恵美
環、ごめんなって・・・そう言ってたよ
大神環
そっか・・・知ってるよ
所恵美
...ポタポタと環は大粒の涙を零しはじめる
大神環
気づかないわけないじゃん・・・お父さんの・・・バカ
所恵美
...アタシは環のことをそっと抱きしめてやると環は縋るように泣いてきた
所恵美
...暫くすると環は泣き止んで落ち着いた
所恵美
...アタシは環を残して、家を去ろうとする
大神環
めぐみ!!
所恵美
...環が駆け足で玄関までやってきた
大神環
めぐみ、ありがとう!!
大神環
たまきね、やっぱお父さんのこと大好きだよ・・・くふふ!!
(台詞数: 50)