真壁瑞希
~now~
所恵美
...刑務官に通されて、一人の少女がやってきた
所恵美
...彼女の眼には、目の前で安らかに眠っている父の姿がどのように映っているのだろうか
大神環
お父さん・・・?
所恵美
...もう目覚めることのないその父親に困惑しながらもそっと言葉をかける少女
所恵美
...その姿はもしかしたら起きるかもしれないという微かな希望でも抱いているかの様だった
大神環
お父さん・・・起きて、起きてよお父さん!
大神環
たまき・・・迎えに来たよ?
所恵美
...たまきと名乗る少女は起きるはずもない男の肩を揺らす
所恵美
...何度も・・・何度も
大神環
お父さん・・・起きて・・・起きてってば!!
大神環
ねぇ・・・ねぇってば!
大神環
約束は・・・どうなるんだよっ!!
所恵美
...少女は人目など気にせずに大粒の涙を零し始める
所恵美
...その様子はその場に居合わせた者なら誰でも見るのが辛い光景になった
所恵美
...そしてそんな彼女に言葉をかけてあげられる人などこの場にいなかった
大神環
もうすぐたまきの所に戻ってきてくれるって言ったじゃん!!
大神環
たまきはず~っと信じてたのに・・・
大神環
なのに・・・
大神環
嘘吐き・・・
大神環
お父さんの嘘吐き!!
大神環
うわぁあああああああああん
所恵美
...彼女は大粒の涙を零しながらその場に崩れた
所恵美
...一緒に来ていた親戚の人が彼女を慰めている
真壁瑞希
所さん、これがあなたのした事です・・・
所恵美
・・・
真壁瑞希
この人と彼女が送るであろう人生を所さんは壊したんです
真壁瑞希
これは所さんの信じる正義が引き起こしてしまった悲しい現実です
真壁瑞希
目を背けないでください
真壁瑞希
それでも所さんはまた「生きる価値が無かった」と言い張りますか?
所恵美
この人は・・この人は違った・・・
所恵美
殺人犯じゃなかった・・・
真壁瑞希
所さん?
所恵美
~彼の魂を送ったとき、アタシの頭には彼の記憶がフラッシュバックされた~
所恵美
~そこに映し出された記憶には彼が人を殺したモノがなかった~
所恵美
この人は冤罪だった・・・
所恵美
~しかし、男は愛する一人娘を守ることを条件にその罪を背負うこととなった~
所恵美
~だから男は自分の気持ちを押し殺し、悪役を演じ続けた~
所恵美
~父の無罪を信じ、面会にやってくる娘を何度も突き放さなければいけなくても~
所恵美
~いつか此処を出て、愛する娘と共にやり直せるその日を信じて~
所恵美
~しかし最期には犯した罪に対して重すぎる罰を男は受ける事となった・・・~
所恵美
~男は最期まで娘のことを想っていた~
所恵美
~娘の事を心配していた~
所恵美
~娘の事を愛していた~
所恵美
~娘との生活を夢見ていた~
所恵美
その全てを・・・
所恵美
アタシが・・・この手で奪ったんだ・・・
所恵美
アタシが・・・アタシが握りつぶしたんだ・・・
所恵美
...自分の犯した過ちに気付いてアタシはその場に崩れ落ちる
所恵美
この人をこの娘にとっての本当の悪者にアタシが仕立て上げちゃったんだ
(台詞数: 50)